選ばれた花嫁は蛇神の求愛を受ける

「お前が(くだん)の花嫁か・・・」

暴漢に無理矢理剥がされそうになった白無垢の襟を直しながら、助けてくれたその男性は長い銀の髪をなびかせていた。

満月に照らされたその姿はまるで本当に月を見ているみたいで
ただ私は見惚れていた。

(この人は誰!?
助けてくれたけど一体何者なんだろう)

絶望的な窮地を彼によって助けられた束の間
希望が見えた私の胸にまた失望が襲ってきた。

(私は『(にえ)』だ。それに変わりはない)

今、こうやって助かっても1時間も経たない内に
旦那さまになる蛇神さまに食べられて一生を終える花嫁という名の贄だ。

(どうしてこんな事になってしまったんだろう。
ほんの数週間前までは平穏に暮らせていたと思っていたのに)

満月に照らされながら私はつい起きた縁談話を思い出していた。