「奥様、今朝のお味噌汁は良いお味でしたね」
「ええ。これもみえさんが教えてくれたおかげよ」
「とんでもございません」
みやこの言葉に女中のみえが嬉しそうに微笑む。
ここへ嫁いできてから、美弥子は彼女に色々な家事を教わっていた。
実家では美弥子を見ると面倒そうに顔を歪める人ばかりだったから、こんなに優しくしてもらえるなんて夢でも見ているのかと最初は身構えたぐらいだ。
「旦那様も、もっとゆっくり召し上がってくださればよかったのですが、近頃はどうもお忙しいようでして……」
「そのようね」
美弥子の返事に、横からスっと新聞が差し出される。
もう一人の女中の清子だった。
美弥子と同じくらいの歳頃で、いつも流行りものに興味津々だ。
「これが理由ですよ。ご覧ください奥様。帝都で相次ぐ呪殺事件ですって」
「まあ……なんて非道な……」
清子が指し示した記事を見る。
玻璃坂にほど近い地域で呪いによる殺人事件が頻出しているらしい。
被害者も様々いるようだが、記者の見解としては怨恨ではなく無差別ではないかと書かれている。
こういった事件は警察だけでなく陰陽部隊も出動しなければならない。
そのおかげで、近頃の要は忙しくしているようだった。
「近頃は物騒で困りますわ。奥様もくれぐれもおひとりで外出なさらないでくださいね」
「ええ。皆さんに迷惑をかけるようなことはしないと約束するわ」
なんだか暗い雰囲気になってしまったので、話をサッと切り替える。
「さあ、それよりも今日のお掃除をしましょう! 家が綺麗だと旦那様も喜んでくださるはずだわ」
「ええ! そうですね」
半年間家事はやらなくていいと言われているが、美弥子がやりたくてやっているだけだ。
むしろ、こうして働いているほうが巫女だった頃よりよっぽど生き生きしている気がする。
(でも、ここは私の本当の居場所じゃない……)
少しだけ感じた胸の痛みに気づかない振りをしながら、美弥子は掃除にとりかかった。
「ええ。これもみえさんが教えてくれたおかげよ」
「とんでもございません」
みやこの言葉に女中のみえが嬉しそうに微笑む。
ここへ嫁いできてから、美弥子は彼女に色々な家事を教わっていた。
実家では美弥子を見ると面倒そうに顔を歪める人ばかりだったから、こんなに優しくしてもらえるなんて夢でも見ているのかと最初は身構えたぐらいだ。
「旦那様も、もっとゆっくり召し上がってくださればよかったのですが、近頃はどうもお忙しいようでして……」
「そのようね」
美弥子の返事に、横からスっと新聞が差し出される。
もう一人の女中の清子だった。
美弥子と同じくらいの歳頃で、いつも流行りものに興味津々だ。
「これが理由ですよ。ご覧ください奥様。帝都で相次ぐ呪殺事件ですって」
「まあ……なんて非道な……」
清子が指し示した記事を見る。
玻璃坂にほど近い地域で呪いによる殺人事件が頻出しているらしい。
被害者も様々いるようだが、記者の見解としては怨恨ではなく無差別ではないかと書かれている。
こういった事件は警察だけでなく陰陽部隊も出動しなければならない。
そのおかげで、近頃の要は忙しくしているようだった。
「近頃は物騒で困りますわ。奥様もくれぐれもおひとりで外出なさらないでくださいね」
「ええ。皆さんに迷惑をかけるようなことはしないと約束するわ」
なんだか暗い雰囲気になってしまったので、話をサッと切り替える。
「さあ、それよりも今日のお掃除をしましょう! 家が綺麗だと旦那様も喜んでくださるはずだわ」
「ええ! そうですね」
半年間家事はやらなくていいと言われているが、美弥子がやりたくてやっているだけだ。
むしろ、こうして働いているほうが巫女だった頃よりよっぽど生き生きしている気がする。
(でも、ここは私の本当の居場所じゃない……)
少しだけ感じた胸の痛みに気づかない振りをしながら、美弥子は掃除にとりかかった。

