「誘った私が言うのもあれだけどさ」
手狭な防音室には、ドラムセットが端っこの方に一つ、アンプが四つ縦に並び、安っぽいスチールチェアが三脚あって、何かのケーブル類が床に散乱している。それから最後にギター用のスタンドが三つ、うち二つに別の種類のギターが立てられている。
「本当に来るとは思わなかったよ」
その部屋のほぼ中央に彼女、緑木奏は座っていた。空いた残り一つのギタースタンドに立っていたであろうギターを抱えながら。
「そういう約束にしないと昼休み中に話し込むことになったでしょう……」
「私はそれでも良かったんだけど」
勘弁してほしい。
それが嫌だから、無茶な約束だとは思いつつも昨日と同じ貸しスタジオで放課後に会うことを約束したのだ。
「まあまあ、ゆっくりしてってよ。飲食禁止だからお茶の一つも出せないけど」
そう言いながら、奏は空いているスチールチェアの一つを指差した。スクールバックを用途のよく分からない機材にぶつけないよう慎重に、スチールチェアを奏の前まで運んでそこに腰掛ける。
「で、その……」
さて。
本当に私は、なぜここに来てしまったのだろうか。今更になって後悔している自分がいる。
事の発端は、寝不足らしい奏が妙なテンションのまま、45分ほどしかない昼休みをマシンガントークで消化させかねない勢いだったからだ。
「か、語るって何を……?」
周りからの好奇の目に耐えきれなかった私は、苦し紛れに彼女と約束を結んだ。
それが、放課後に貸しスタジオでじっくり話し込むという約束だったわけだ。
「そりゃもちろん、ロックについてだよ!」
「はあ……そう言われましても」
「そのためにたっぷり授業中に寝たんだからね!」
確かに、目をキラキラとさせた奏の目元から隈は消えていた。いや、授業はちゃんと聞けよ。私に言えたことではないが。
「何を語れば……?」
「好きなこと!」
近い。昨日気づくべきだったが、奏は距離感がおかしい。ギターを器用に抱えたまま、二歩分は離しておいたスチールチェアを構いもせずに私の肩を掴んだ。
「アーミー・レーション、聴くんでしょ? 相当なロック好きと見たよ」
鼻を鳴らして、得意げに奏が笑った。
実際、アーミー・レーションはマイナーなバンドだ。いや、なりつつあると言った方が良いかもしれない。
イギリスのロックバンドが全盛だった時代に、その流れを汲んで日本で生まれたインディーズ・ロックバンドのアーミー・レーションは、知る人ぞ知るという感じで全国にファンを抱えていた。小規模ながらライブツアーを行っていたとも聞く。
ただまあ、UKロックが全盛だったのは90年代後半から2000年初頭。要は、30年前だ。
「その、親の影響なだけで、あんまり詳しいわけではないと言いますか……」
「ええええ!」
防音室で良かった。奏の声が大きすぎて耳が痛い。
と同時に、私は何か選択を間違えたのかもしれない。グッバイ私の青春。
「私も一緒!」
なんだってんだ。
身構えた私がバカみたいじゃないか。
「ねね、昼休みに教えてもらえなかったし、好きな曲教えてよ! アーミー・レーションでもいいし、他のでも!」
「へ……?」
好きな曲。
どう答えたら良いのだ。メジャーな曲を答えたら底が浅いと思われてしまうかもしれない。変にマイナー過ぎるやつだと逆張りオタクだと誤解されてしまうかも。
ぐるぐると脳内プレイリストを探してみる。
好きな曲。好きな曲ってなんだ。みんなも好きなら、好きなのかな。みんなが知らない曲なら、好きなのかな。
「えと……」
靴を見つめたって、答えが出るわけじゃない。
歌詞が良いだとか、音楽性があるだとか、そんなこと分からない。
私は何が好きなんだ。
なぜ、アーミー・レーションを好きになってしまったんだ?
「ね、教えて?」
「……」
奏が心配そうな顔で私の表情を覗き込む。
好きってなんだ?
「あの……アーミー・レーションの『ホワット・イズ・ラヴ』が好き、です。多分」
「え」
奏が、ずいぶんと驚いたような顔をする。
「昨日、私が弾いてたやつ?」
「は、はい……」
まず、驚いた顔で固まった。
次に、考え込むようなそぶりを見せた。
最後に、照れたように笑った。
「え、えへへ」
「何がですか」
ギターを両腕で抱えて照れ笑いを続ける奏。流石に百面相を飛び越えて挙動不審だった。
「え、だって、なんか、運命感じちゃって」
「誰と誰にですか!?」
立ち上がって叫んでしまった。
防音室内に私の絶叫が駆け回る。心配して窓の方を見れば、今日は閉まっている。良かった。
「っていうか、何に!?」
「だって、私が昨日『ホワット・イズ・ラヴ』を弾いてた時に靴がすっ飛んだから、君と私は出会えたわけじゃん? もう運命じゃん」
「……私、ただの被害者なんですけど」
「まあまあ」
「まあまあって何ですか!」
気まずそうに目を逸らした奏。
ここばかりは私はただの被害者である。往来の真ん中で立ち止まっただけなのに、靴が窓から降って来てぶつかったのだ。
……そう考えると、確かに運命的ではあると思う。起きたことに目を向けなければ。
「ま、ほら! 今日はそのお詫びでもあるからさ! いや本当にすみませんでした……」
開き直ったかと思えば、今度は深々と頭を下げる奏。この人の情緒はジェットコースターか何かなのか?
「あ、あの、顔を上げてくださいてよ」
「ごめんねぇ、ここの部屋の窓って、妙に建てつけが悪くて、何回かに一回は鍵を閉めても勝手に開いちゃうんだよぉ……」
「なんですかそれ」
「ほら見てよ、さっき閉めたはずなのに、また開き始めてる」
「そんな馬鹿な……うわ本当だ怖い!」
さっき見たときは確実に閉め切られていたはずの窓が、ひとりでに開き始めている。しかも、二重の分厚いガラスで相当重いはずの窓が、だ。
「オーナー、あの昨日、私の頭を叩いて連れ去った怖い人にしか完璧に閉められない運任せウィンドウなの」
奏がギターを置いて立ち上がって、半分ほど開いてしまった窓を閉めた。ドスンという音が、窓の重さを物語っていた。
「とまあ、そんなこんなで。本当に迷惑かけちゃってごめんね……」
涙のエフェクトが見えそうなくらい、本当に申し訳なさそうな表情だった。
「ま、まあ。そういう理由なら私の運が悪かっただけなので……」
想像以上に奇跡と奇跡が偶然に重なり合ったピタゴラスイッチだったらしい。なるほど、これが起こり得ることは起こるというやつ。喧しいわ。
スチールチェアに座り直した奏が、ギターを抱え直す。その一連の所作から、私はなんとなく目が離せなかった。
「でも、最初に言ったけど、本当に来てくれるとは思わなかった。その、結構あれだよね。人付き合いとか苦手なタイプっていうか」
「あ……はい。おっしゃる通りです……」
反論したい気持ちが無いわけではないが、靴の方を眺めてみても反論できる材料というのは生憎持ち合わせがなかった。
そう。正直なところ、昼休みに結んだ約束はその場しのぎの口八丁以上の何物でもなかったのだ。
「でも、こうやって来てくれて私は嬉しい。ありがとう。あ、あれかな? 明日以降も昼休みに突撃されるのが嫌だったとか……」
「あ、まあぶっちゃけそれは……その、はい。そういう意味もあるんですけど……」
私の馬鹿! なんで肯定してしまったんだ!
己の失言はもう取り戻せない。どうにかしてこの状況を切り抜けなければ、私の今後の学校生活がかなり危ういぞ!
「でも、その、それだけじゃなくって……」
言い訳ばかりが頭を過った。
友達が欲しかったから? ロックを語れるのが嬉しかったから?
そんなことじゃない。下手なことを言ったら面倒なことになるのは目に見えているし、何よりこの偶然に失礼だと思った。
私は、どうしてその場しのぎの約束を律儀に守ろうとしたのだろうか。
足元の視線からは何も分からない。
でも。
「……このままじゃ、ダメだと。そう思った、ので」
何がどうダメなのかなんて、私には分からなかった。
けれど、この貸しスタジオに来るまでの足取りは確かに重かったが、少なくとも毎朝、高校に向かう時よりは随分マシだったと思ったのだ。
その違和感を、気のせいにしたくなかった。
「そっか。嬉しいな」
顔を上げて、奏の方を見た。
先程の照れ笑いとは違って、奏はすごく優しい微笑みを湛えている。
ああ、なるほど。なんとなく、自分は変わってみたかったのだ。
こういう風に、笑ってみたかったのかもしれないと思った。
「……せっかくだし、私のギター聞いてく? 『ホワット・イズ・ラヴ』弾けるよ?」
「あの、ご迷惑とかでは……」
「いいのいいの。お詫びだと思って聞いて」
そう言って、奏は床に散乱したケーブルの内の一本を拾い上げて、持っていたギターに挿した。
「んーと、オーバードライブとディレイと……あれ、ワウもだっけ」
なんとなく、そのギターから垂れるケーブルの先を目で追ってみると、四角いアタッシュケースの蓋だけ取ったようなボード、その上に置かれた色とりどりのよく分からない機材に繋がっている。奏はそれを足元まで持ってきて、忙しなく機材を踏んだりつまみを弄ったり。
立ち上がってアンプの電源を入れ、ギターを少し鳴らして、また難しそうな顔をしてつまみを捻った。
「んー、まあ、よし! オッケー!」
何かに納得したらしい奏が椅子に戻って、私の方に向き直ってくれた。
「じゃ、弾くよ!」
手狭な防音室には、ドラムセットが端っこの方に一つ、アンプが四つ縦に並び、安っぽいスチールチェアが三脚あって、何かのケーブル類が床に散乱している。それから最後にギター用のスタンドが三つ、うち二つに別の種類のギターが立てられている。
「本当に来るとは思わなかったよ」
その部屋のほぼ中央に彼女、緑木奏は座っていた。空いた残り一つのギタースタンドに立っていたであろうギターを抱えながら。
「そういう約束にしないと昼休み中に話し込むことになったでしょう……」
「私はそれでも良かったんだけど」
勘弁してほしい。
それが嫌だから、無茶な約束だとは思いつつも昨日と同じ貸しスタジオで放課後に会うことを約束したのだ。
「まあまあ、ゆっくりしてってよ。飲食禁止だからお茶の一つも出せないけど」
そう言いながら、奏は空いているスチールチェアの一つを指差した。スクールバックを用途のよく分からない機材にぶつけないよう慎重に、スチールチェアを奏の前まで運んでそこに腰掛ける。
「で、その……」
さて。
本当に私は、なぜここに来てしまったのだろうか。今更になって後悔している自分がいる。
事の発端は、寝不足らしい奏が妙なテンションのまま、45分ほどしかない昼休みをマシンガントークで消化させかねない勢いだったからだ。
「か、語るって何を……?」
周りからの好奇の目に耐えきれなかった私は、苦し紛れに彼女と約束を結んだ。
それが、放課後に貸しスタジオでじっくり話し込むという約束だったわけだ。
「そりゃもちろん、ロックについてだよ!」
「はあ……そう言われましても」
「そのためにたっぷり授業中に寝たんだからね!」
確かに、目をキラキラとさせた奏の目元から隈は消えていた。いや、授業はちゃんと聞けよ。私に言えたことではないが。
「何を語れば……?」
「好きなこと!」
近い。昨日気づくべきだったが、奏は距離感がおかしい。ギターを器用に抱えたまま、二歩分は離しておいたスチールチェアを構いもせずに私の肩を掴んだ。
「アーミー・レーション、聴くんでしょ? 相当なロック好きと見たよ」
鼻を鳴らして、得意げに奏が笑った。
実際、アーミー・レーションはマイナーなバンドだ。いや、なりつつあると言った方が良いかもしれない。
イギリスのロックバンドが全盛だった時代に、その流れを汲んで日本で生まれたインディーズ・ロックバンドのアーミー・レーションは、知る人ぞ知るという感じで全国にファンを抱えていた。小規模ながらライブツアーを行っていたとも聞く。
ただまあ、UKロックが全盛だったのは90年代後半から2000年初頭。要は、30年前だ。
「その、親の影響なだけで、あんまり詳しいわけではないと言いますか……」
「ええええ!」
防音室で良かった。奏の声が大きすぎて耳が痛い。
と同時に、私は何か選択を間違えたのかもしれない。グッバイ私の青春。
「私も一緒!」
なんだってんだ。
身構えた私がバカみたいじゃないか。
「ねね、昼休みに教えてもらえなかったし、好きな曲教えてよ! アーミー・レーションでもいいし、他のでも!」
「へ……?」
好きな曲。
どう答えたら良いのだ。メジャーな曲を答えたら底が浅いと思われてしまうかもしれない。変にマイナー過ぎるやつだと逆張りオタクだと誤解されてしまうかも。
ぐるぐると脳内プレイリストを探してみる。
好きな曲。好きな曲ってなんだ。みんなも好きなら、好きなのかな。みんなが知らない曲なら、好きなのかな。
「えと……」
靴を見つめたって、答えが出るわけじゃない。
歌詞が良いだとか、音楽性があるだとか、そんなこと分からない。
私は何が好きなんだ。
なぜ、アーミー・レーションを好きになってしまったんだ?
「ね、教えて?」
「……」
奏が心配そうな顔で私の表情を覗き込む。
好きってなんだ?
「あの……アーミー・レーションの『ホワット・イズ・ラヴ』が好き、です。多分」
「え」
奏が、ずいぶんと驚いたような顔をする。
「昨日、私が弾いてたやつ?」
「は、はい……」
まず、驚いた顔で固まった。
次に、考え込むようなそぶりを見せた。
最後に、照れたように笑った。
「え、えへへ」
「何がですか」
ギターを両腕で抱えて照れ笑いを続ける奏。流石に百面相を飛び越えて挙動不審だった。
「え、だって、なんか、運命感じちゃって」
「誰と誰にですか!?」
立ち上がって叫んでしまった。
防音室内に私の絶叫が駆け回る。心配して窓の方を見れば、今日は閉まっている。良かった。
「っていうか、何に!?」
「だって、私が昨日『ホワット・イズ・ラヴ』を弾いてた時に靴がすっ飛んだから、君と私は出会えたわけじゃん? もう運命じゃん」
「……私、ただの被害者なんですけど」
「まあまあ」
「まあまあって何ですか!」
気まずそうに目を逸らした奏。
ここばかりは私はただの被害者である。往来の真ん中で立ち止まっただけなのに、靴が窓から降って来てぶつかったのだ。
……そう考えると、確かに運命的ではあると思う。起きたことに目を向けなければ。
「ま、ほら! 今日はそのお詫びでもあるからさ! いや本当にすみませんでした……」
開き直ったかと思えば、今度は深々と頭を下げる奏。この人の情緒はジェットコースターか何かなのか?
「あ、あの、顔を上げてくださいてよ」
「ごめんねぇ、ここの部屋の窓って、妙に建てつけが悪くて、何回かに一回は鍵を閉めても勝手に開いちゃうんだよぉ……」
「なんですかそれ」
「ほら見てよ、さっき閉めたはずなのに、また開き始めてる」
「そんな馬鹿な……うわ本当だ怖い!」
さっき見たときは確実に閉め切られていたはずの窓が、ひとりでに開き始めている。しかも、二重の分厚いガラスで相当重いはずの窓が、だ。
「オーナー、あの昨日、私の頭を叩いて連れ去った怖い人にしか完璧に閉められない運任せウィンドウなの」
奏がギターを置いて立ち上がって、半分ほど開いてしまった窓を閉めた。ドスンという音が、窓の重さを物語っていた。
「とまあ、そんなこんなで。本当に迷惑かけちゃってごめんね……」
涙のエフェクトが見えそうなくらい、本当に申し訳なさそうな表情だった。
「ま、まあ。そういう理由なら私の運が悪かっただけなので……」
想像以上に奇跡と奇跡が偶然に重なり合ったピタゴラスイッチだったらしい。なるほど、これが起こり得ることは起こるというやつ。喧しいわ。
スチールチェアに座り直した奏が、ギターを抱え直す。その一連の所作から、私はなんとなく目が離せなかった。
「でも、最初に言ったけど、本当に来てくれるとは思わなかった。その、結構あれだよね。人付き合いとか苦手なタイプっていうか」
「あ……はい。おっしゃる通りです……」
反論したい気持ちが無いわけではないが、靴の方を眺めてみても反論できる材料というのは生憎持ち合わせがなかった。
そう。正直なところ、昼休みに結んだ約束はその場しのぎの口八丁以上の何物でもなかったのだ。
「でも、こうやって来てくれて私は嬉しい。ありがとう。あ、あれかな? 明日以降も昼休みに突撃されるのが嫌だったとか……」
「あ、まあぶっちゃけそれは……その、はい。そういう意味もあるんですけど……」
私の馬鹿! なんで肯定してしまったんだ!
己の失言はもう取り戻せない。どうにかしてこの状況を切り抜けなければ、私の今後の学校生活がかなり危ういぞ!
「でも、その、それだけじゃなくって……」
言い訳ばかりが頭を過った。
友達が欲しかったから? ロックを語れるのが嬉しかったから?
そんなことじゃない。下手なことを言ったら面倒なことになるのは目に見えているし、何よりこの偶然に失礼だと思った。
私は、どうしてその場しのぎの約束を律儀に守ろうとしたのだろうか。
足元の視線からは何も分からない。
でも。
「……このままじゃ、ダメだと。そう思った、ので」
何がどうダメなのかなんて、私には分からなかった。
けれど、この貸しスタジオに来るまでの足取りは確かに重かったが、少なくとも毎朝、高校に向かう時よりは随分マシだったと思ったのだ。
その違和感を、気のせいにしたくなかった。
「そっか。嬉しいな」
顔を上げて、奏の方を見た。
先程の照れ笑いとは違って、奏はすごく優しい微笑みを湛えている。
ああ、なるほど。なんとなく、自分は変わってみたかったのだ。
こういう風に、笑ってみたかったのかもしれないと思った。
「……せっかくだし、私のギター聞いてく? 『ホワット・イズ・ラヴ』弾けるよ?」
「あの、ご迷惑とかでは……」
「いいのいいの。お詫びだと思って聞いて」
そう言って、奏は床に散乱したケーブルの内の一本を拾い上げて、持っていたギターに挿した。
「んーと、オーバードライブとディレイと……あれ、ワウもだっけ」
なんとなく、そのギターから垂れるケーブルの先を目で追ってみると、四角いアタッシュケースの蓋だけ取ったようなボード、その上に置かれた色とりどりのよく分からない機材に繋がっている。奏はそれを足元まで持ってきて、忙しなく機材を踏んだりつまみを弄ったり。
立ち上がってアンプの電源を入れ、ギターを少し鳴らして、また難しそうな顔をしてつまみを捻った。
「んー、まあ、よし! オッケー!」
何かに納得したらしい奏が椅子に戻って、私の方に向き直ってくれた。
「じゃ、弾くよ!」
