【さとうさんとのツーショットしゃしんをてにいれた……(*´ー`*)さわだそらはレベルが1あがった】
さっき二人で購入した写真をボディーバッグの中に大事そうに収めた沢田くんは、心なしか頬を赤く染めているように見える。
【ああ、やばい。こんなものをカバンに入れたら挙動不審になっちゃうよ。「君、怪しいな。カバンの中のものを見せなさい!」なんて警察に職質されたらどうしよう。警察振り切って逃げても結局捕まって、「これは何だ?」って佐藤さんとのツーショット写真を取り出されたらどうしよう。「と、友達です……」「嘘をつくんじゃない! こんなに仲が良さそうじゃないか!」なんて尋問されたらどうしよう(੭ु´͈ ᐜ `͈)੭ु⁾⁾ 素直にゲロっちゃうよ〜!】
いったいどんな想像してるの。
でもこんなに喜んでくれるなんて、私も嬉しいな。
「ねえ、次はお化け屋敷に行こうよ!」
ついテンションが上がっちゃって、私は沢田くんの手にちょっとだけ触れてしまった。すると。
【はわわわわわわわわわあああ!】
途端に沢田くんの心の声が飛び上がったので慌てて手を引っ込める。
「あ、ごめん。今ちょっと触っちゃった?」
「う、ううん……【嘘。本当は触っちゃったよ佐藤さん! うっかり俺を殺すところだったよ! 気をつけて、佐藤さん!\(//∇//)\】
沢田くんのテンションは最高にハイってやつだ。
こんなにはしゃいでて大丈夫かな? この後のお化け屋敷、けっこう怖いって噂だけど。
やがて、私たちの眼前に古い日本家屋を模した建物が現れた。二階の窓からちょっぴり誰かが覗き込んでいるように見えるけど、あれはマネキンだろうと思いたい。
すでにおどろおどろしい雰囲気がプンプンするぜっ!
言い出した私の方がビビっちゃう。
「さ、沢田くん、並ぼう」
「うん【ヤバい、何してても楽しい(*´艸`*)】」
浮かれっぱなしの沢田くんと、おそるおそる列の最後尾に加わった。
アトラクションの待ち時間はおよそ30分だと看板に表示されている。さすがに人気のアトラクションだ。
「沢田くん、怖いの平気?」
並んでしばらく経ってから聞いてみると、さすがに沢田くんの顔色は変化していた。
「……多分【平気じゃない。゚(゚´Д`゚)゚。】」
そっちか。
「私、こういう恐怖系のってジェットコースターより苦手かも。しかもね、ここお化け役が人間で、怖がる人を追いかけてくるんだって」
「へー【なんて悪趣味なんだ! その情報は知りたくなかった〜。゚(゚´Д`゚)゚。】」
「あのね、だから……」
私はドキドキしながら沢田くんの手を見つめる。大きくて綺麗な指が五本ついている左手だ。
「ん?【どうしたんだろ、佐藤さん。もじもじしてる??】」
するよ。緊張する!
でも、こんな時じゃないときっと恥ずかしくて出来ないと思うから……!
私は不思議そうにこっちを見つめる沢田くんに思い切って口を開いた。
「このアトラクションの間だけでもいいから……私と手をつないでくれる?」
異変にはすぐに気がついた。
私の決死の提案のあと、沢田くんの声が途絶えたのだ。
「沢田くん……?」
おそるおそる沢田くんの顔を覗き込むと、彼の意識は完全にどこかへ飛んでいた。目を開いたままなのに焦点があっていない。
「沢田くん、しっかりして!」
「えっ! あ、うん【あ、うんってなんだよ。金剛力士像か俺は】」
あれ、このやりとり激しくデジャヴ。
もしかして沢田くん、この小説の3ページ目まで意識が飛んでたの⁉︎ もう9万字到達しているのに、88000字遡っちゃったのっ?
意識飛びすぎだよ、沢田くん!
【いや、待って。ええええええええええーーーっ!!! 佐藤さん、今なんて⁉︎ 俺の手と佐藤さんの手をどうしろって⁉︎ 絶対に離れない接着剤で朝までくっつけておこうって──⁉︎】
そこまで言ってないよ! っていうかそれ別の話!
「驚かせてごめんね沢田くん。やっぱり、ダメだよね……?」
私はうつむいて沢田くんを見ないようにした。見つめてしまったら、沢田くんがプレッシャーを感じて逃げ出してしまいそうで怖かったのだ。
無理って言われそうで、怖かった。だから私の方から逃げた。それなのに。
「むり……!」
予防線を張っても、それが聞こえた瞬間、ズキッと胸が痛んだ。
ああ、やっぱり沢田くんにはまだそこまでの勇気、ないよね。
ガッカリしちゃダメだ。
自分が勝手に高いハードル置いたくせに、ガッカリするなんてひどいよね。
冗談だよって言って笑っちゃおうか。ほら、笑え景子!
岩のように固まったほっぺをグニグニ引っ張ってやろうかと思った時だった。
【佐藤さん……かわいい無理かわいい。可愛すぎて逆に無理。この可愛さ天使級。え、お化け屋敷? 嘘だろ、天国の間違いだろ! ここだけは佐藤さんと手をつないでもオッケーだとか、どんだけ幸せ俺に与える気なのお化け屋敷。アホか!! 逆に死ね!!】
えっ、と思わず顔を上げると、沢田くんはプルプル震えながら私に向かって手を出した。
「……これでいい?」
わざと目をそらして呟いたその横顔に、私のハートはズッキュウウウウウン!!! と撃ち抜かれた。
え、なにこのお化け屋敷。嘘でしょ、天国の間違いでしょ! どんだけ幸せ私に与える気なの、アホか!! 逆に死ねーーーーっ!!!!

