「だからバイト増やしてたんだ」
「なるほど」というような目をしながら、ママが落ち着いた声で話を続けた。
「……うん。たぶんお金もたくさんかかるだろうから……いくらなのか知らないけど、とりあえず自分のやれることを考えたんだよ」
「スゴイじゃない。大人になったんだねえ、夏穂も」
「……え?」
「ずっとあなたは冬華のことを考えてきてたから」
なぜだろう?
胸の奥がジンと響いて、涙が出そうになるのは。まぶたの下にじんわりと涙がたまる。
「そんなことないよ。わたしは自分のことばっかだもん」
「そう? ママはそう思ってないけど?」
「……高校受験の時に、わたしだけ塾に行かせてもらったもん……冬華は行ってなかったのに」
「それはあなたが勉強できなかったんだから。仕方なかったでしょう?」
「ええ?」と言わんばかりに顔を上げると、ママは少し笑っていた。
「でも今は違うじゃない。冬華の大学受験のこと、考えてるでしょう?」
「だって……冬華は頭良いから。看護師になるって言ってるから……大学だって絶対に行くってことじゃん」
「まあねえ。栄ケ丘だからねえ。次は大学が待ってるよね」
わたしは何も言えなくなってしまった。
「わたしも行きたい」なんてママには言えなかった。別に勉強が好きで入った高校でもないし。つい去年までは早く卒業してお金を稼ごうって思ってたんだから。
……大学に行く資格なんて、わたしにはない。いきなり「行きたい」なんて言って良いものじゃない。
大学は冬華のように、ずっと昔から考えていたり、勉強が好きだったり、得意な人じゃないと行っちゃダメ。だってきっと、お金がかなりかかるはずだから。遊びに行くわけでもないし。
それに……卒業した後の目標なんか、何一つわたしにはないから。
「色々調べてみて」
「え?」
「もちろん、行きたいって言ったから『じゃあ良いよ』っていう所じゃないからね。でも……夏穂が興味を持ったのは大切なことだと思うよ、ママは」
「……」
「だから今は、入試のこととか、何を勉強したいのかとか。卒業したらどうなれるのかとか。ネットで色々調べてみなさい。勉強も頑張らないといけないだろうから」
「……うん」
鼻もムズムズする。ママの姿が涙でゆがむ。
もしかしたら……ママにはバレているかも知れない。でもわたしは嬉しかった。
否定されなかったことに。
前向きなアドバイスをくれたことに。
「なるほど」というような目をしながら、ママが落ち着いた声で話を続けた。
「……うん。たぶんお金もたくさんかかるだろうから……いくらなのか知らないけど、とりあえず自分のやれることを考えたんだよ」
「スゴイじゃない。大人になったんだねえ、夏穂も」
「……え?」
「ずっとあなたは冬華のことを考えてきてたから」
なぜだろう?
胸の奥がジンと響いて、涙が出そうになるのは。まぶたの下にじんわりと涙がたまる。
「そんなことないよ。わたしは自分のことばっかだもん」
「そう? ママはそう思ってないけど?」
「……高校受験の時に、わたしだけ塾に行かせてもらったもん……冬華は行ってなかったのに」
「それはあなたが勉強できなかったんだから。仕方なかったでしょう?」
「ええ?」と言わんばかりに顔を上げると、ママは少し笑っていた。
「でも今は違うじゃない。冬華の大学受験のこと、考えてるでしょう?」
「だって……冬華は頭良いから。看護師になるって言ってるから……大学だって絶対に行くってことじゃん」
「まあねえ。栄ケ丘だからねえ。次は大学が待ってるよね」
わたしは何も言えなくなってしまった。
「わたしも行きたい」なんてママには言えなかった。別に勉強が好きで入った高校でもないし。つい去年までは早く卒業してお金を稼ごうって思ってたんだから。
……大学に行く資格なんて、わたしにはない。いきなり「行きたい」なんて言って良いものじゃない。
大学は冬華のように、ずっと昔から考えていたり、勉強が好きだったり、得意な人じゃないと行っちゃダメ。だってきっと、お金がかなりかかるはずだから。遊びに行くわけでもないし。
それに……卒業した後の目標なんか、何一つわたしにはないから。
「色々調べてみて」
「え?」
「もちろん、行きたいって言ったから『じゃあ良いよ』っていう所じゃないからね。でも……夏穂が興味を持ったのは大切なことだと思うよ、ママは」
「……」
「だから今は、入試のこととか、何を勉強したいのかとか。卒業したらどうなれるのかとか。ネットで色々調べてみなさい。勉強も頑張らないといけないだろうから」
「……うん」
鼻もムズムズする。ママの姿が涙でゆがむ。
もしかしたら……ママにはバレているかも知れない。でもわたしは嬉しかった。
否定されなかったことに。
前向きなアドバイスをくれたことに。



