第三ターミナルのあちこちにあるベンチには、すでに仮眠を取っている人たちの姿があった。誰もいない場所をようやく見つけたオレたちは、腰かけて肩を預け合うことにした。
「そうだ。円城寺くんのやりたいことってなに? ご両親に発破かけられたってヤツ」
「ああ、あれな。小説、書いてみたいなって。本気でやってみる」
「マジか。オレ絶対買うから、サインしてよ」
「さすがに気が早くない?」
「だって、円城寺くんなら絶対に大丈夫。オレとトワが保証する。あ、トワってカタカナのトワな」
「はは、ありがとう」
見渡す限り人はいないけれど、声を潜めて話す。静かで声が響きそうだし、こんな大切な話、そっと渡したいなって思うからかもしれない。
「永遠は? なにかしたいこと見つかった?」
「オレ? オレは……ふあ」
「はは、眠いよな」
「ん……今する話じゃないかもな」
「だな。どうせずっといるんだし、起きたら聞かせてよ」
「うん。聞いてほしい」
両親には、今回の帰省で伝えてきた。やってみたいことが見つかったかもしれないと。まだ揺らいではいるのだけれど、背中を押してもらえた。善は急げと、すでにオープンキャンパスも申し込んである。学んでみたい学科があると同時に、精力的に活動する演劇サークルのある大学だ。円城寺に言ったら、どんな顔で応援してくれるだろうか。
「永遠、もう寝た?」
「んー……寝た」
「はは。なあ、俺ほしい誕プレあんだけど」
「ええ、それこそ今?」
「起きてからでいいけど、今のうちに予約しとこうかなって。ちなみにタダ」
「タダ? いいよ。てか、普通にプレゼントもあげるし」
「お。言ったからな?」
「ん、言った……なあ、もう寝よ」
「だな、おやすみ。あー、楽しみだわ。名前で呼ばれるの」
「……ん? え、プレゼントってそういう?」
「そう〜。撤回はなしな」
「マジか……」
オレと円城寺がこれから先、どんな風に大人になっていくのだろう。楽しみに思えるけれど、さっそく目の前に高い壁がそびえ立ってしまった。
「呼びたいとは思ってるけど……恥ずかしいんだよなあ」
「ふ、まあ頑張れ」
「はあ……とりあえず、オレは寝るから。おやすみ。……瞬星」
目覚めて頭がはっきりしてしまうと、逆に言いづらいかもしれない。それならば、と寝ぼけた声で言ってみる。うん、普通に恥ずかしい。どうか聞こえていませんようにと願ったけれど、体がくっつくくらいそばにいるから無駄だった。
「わお。はは、俺寝れないかも」
「寝てくださーい」
でもまあとりあえず、18歳の誕生日も忘れられないものになりそうだ。こんな風に歳を重ねていくのは、きっと悪くない。
いや、控えめに言って最高、かも。
「そうだ。円城寺くんのやりたいことってなに? ご両親に発破かけられたってヤツ」
「ああ、あれな。小説、書いてみたいなって。本気でやってみる」
「マジか。オレ絶対買うから、サインしてよ」
「さすがに気が早くない?」
「だって、円城寺くんなら絶対に大丈夫。オレとトワが保証する。あ、トワってカタカナのトワな」
「はは、ありがとう」
見渡す限り人はいないけれど、声を潜めて話す。静かで声が響きそうだし、こんな大切な話、そっと渡したいなって思うからかもしれない。
「永遠は? なにかしたいこと見つかった?」
「オレ? オレは……ふあ」
「はは、眠いよな」
「ん……今する話じゃないかもな」
「だな。どうせずっといるんだし、起きたら聞かせてよ」
「うん。聞いてほしい」
両親には、今回の帰省で伝えてきた。やってみたいことが見つかったかもしれないと。まだ揺らいではいるのだけれど、背中を押してもらえた。善は急げと、すでにオープンキャンパスも申し込んである。学んでみたい学科があると同時に、精力的に活動する演劇サークルのある大学だ。円城寺に言ったら、どんな顔で応援してくれるだろうか。
「永遠、もう寝た?」
「んー……寝た」
「はは。なあ、俺ほしい誕プレあんだけど」
「ええ、それこそ今?」
「起きてからでいいけど、今のうちに予約しとこうかなって。ちなみにタダ」
「タダ? いいよ。てか、普通にプレゼントもあげるし」
「お。言ったからな?」
「ん、言った……なあ、もう寝よ」
「だな、おやすみ。あー、楽しみだわ。名前で呼ばれるの」
「……ん? え、プレゼントってそういう?」
「そう〜。撤回はなしな」
「マジか……」
オレと円城寺がこれから先、どんな風に大人になっていくのだろう。楽しみに思えるけれど、さっそく目の前に高い壁がそびえ立ってしまった。
「呼びたいとは思ってるけど……恥ずかしいんだよなあ」
「ふ、まあ頑張れ」
「はあ……とりあえず、オレは寝るから。おやすみ。……瞬星」
目覚めて頭がはっきりしてしまうと、逆に言いづらいかもしれない。それならば、と寝ぼけた声で言ってみる。うん、普通に恥ずかしい。どうか聞こえていませんようにと願ったけれど、体がくっつくくらいそばにいるから無駄だった。
「わお。はは、俺寝れないかも」
「寝てくださーい」
でもまあとりあえず、18歳の誕生日も忘れられないものになりそうだ。こんな風に歳を重ねていくのは、きっと悪くない。
いや、控えめに言って最高、かも。



