青春とやらに君と道連れ

「あ、終わった? お疲れ様」
「……なんでいるの?」

 バイトが終わり、いつも常備しているレモンのグミを買った。店長がレジを打ちつつお疲れと言ってくれたけど、いつもより素っ気ない返事をしてしまったかもしれない。今がいちばん楽しいだなんて、呪いのような言葉を言われたからに他ならない。

 外に出て水筒の麦茶をひとくち飲み、さっそくグミを口に放る。コンビニの端のほうに立っている、やけに背の高い男が視界の端に映った。足早に通り抜けようとしたら、まんまと声をかけられてしまった。体が強張ったのも一瞬。三十分以上前に帰ったはずの円城寺だった。

「なんでって、雨森くん待ち」
「いや、それこそなんで」
「話し相手が欲しかったから、かな」
「えー……そんなの、オレじゃなくていいよね」
「そんなこと言わないでよ。偶然会ったのも、なにかの縁だと思わない?」
「全然」
「あっは、釣れないな。もしかして、雨森くんの中で俺ってそんなに嫌なヤツ?」

 その通り、円城寺瞬星という男に、オレは不信感でいっぱいだ。だってモブでしかないオレなんかに、この世界の主役みたいな円城寺から関わってくる理由が分からない。

 まさか、オレがバイトをしていると知ってお金をたかろうとしているとか? ボディバッグの紐を思わずぎゅっと握り、じりじりと後ずさる。すると円城寺は両手を顔の横に掲げた。まるで、自分は丸腰だと示す悪党みたいに。

「なあ待って。怖がらせてるならごめん」

 眉をしゅんと下げて、円城寺はそんなことを言う。

 信用に値するものを、オレはなにひとつ円城寺に対して持ってはいない。でも、そんな顔をされてはオレの良心も痛むというもので。

「いや、怖いっていうか……だって円城寺くん、友だちいっぱいいるよね。オレじゃなくてよくない?」
「友だちなあー……」
「…………?」

 ふうと息を吐いて、円城寺は天を仰いだ。つられてオレも見上げたけれど、よくよく探さなければ星は見えない、寂しい夜空だった。

「雨森くん、門限は?」
「門限? 特に言われたことはないけど……こんな時間までバイトしてるわけだし」
「なるほど。じゃあこのあと用事は?」
「ない、けど……」
「じゃあいいじゃん」
「ええー……」

 つい今の今まで、しょげた顔をしていたはずなのに。口角をそっと上げながら、円城寺がにじり寄ってくる。顔がいいヤツの圧ってちょっと、いや大分怖いかも。逃げるように視線を逸らしたら、あっという間に腕をつかまれてしまった。

「雨森くん、ちょっと一杯付き合って。な?」
「……っ、はあ!? オレ、お酒とかマジで興味ないんで!」