オタクの好きは違うから

「ねえ、湊士(みなと)ってちょっと真面目すぎっていうかさ。その…ちょっと硬いところ直してほしいな」

俺はピクリと指先を動かした。
また、か。
結局女の子ってみんな一緒なんだよね。
なんだか面倒になって、つい口を滑らせた。

「ごめん、やっぱり君のために変わることができないかも…です」

「はぁ…!?最っ低!!」

パンッ!と乾いた音が鳴った後、右頬に走る痛み。
叩かれたのだと理解した直後、彼女は走って去っていった。
俺の3人目の彼女だった。

「フラれたん…ですよね」

真面目すぎ、硬すぎ、律儀すぎ、面白みがない。
変わってほしいと今までの彼女にも言われてきたけど、変わろうと思えたことなんて一度もない。
俺に恋愛なんてできないかもしれない。
はぁ…とため息をついたとき、声をかけられた。

「おにーさん、派手にフラれたね」

「え?」

初めて会うその人の青色の瞳に吸い込まれた。
なんてきれいな人なんだろう。
その男の子は俺の隣に座った。

「なんでフラれちゃったの?」

なんだか距離感の近い人で、苦手なタイプかもしれない。
いつもなら立ち去るであろう場面でも、思考が鈍っているせいかそんな気も起きなかった。

「俺、いつも真面目すぎるって言われるんです。だから面白みがない…みたいなことを言われて。これでも精一杯尽くしているつもりなんです。俺はきっと恋愛に向いてないんです」

そう言ってうつむいた。
こういうのを聞いた人は、俺が悪いって大抵言うから。
でも違った。

「そう?いいと思うけどな。俺は君みたいなタイプ好みだよ。あ、でも、もっとかわいい子が好きかも」

そう言って笑った顔に、ドキッとしてしまった。

——この日、俺の世界が一転した。