正解のない喫茶店〜十七歳の迷い人たちへ〜

だからと言って、私には入りたい部活もやりたいことも何もない。



「進路希望調査、後ろまで回ったかー?来週の金曜までに、各々記入して提出するように。白紙の場合は三者面談も行うからなー」



あちこちから非難の声が上がる中、ため息をつきながら紙を机の中に入れる。



「高二の夏が最後に遊べる時期なのに、もう進路の話とか最悪」



前の席に座るクラスメイトが、ポニーテールを揺らしながら「ね?」と同意を求めるように振り返ってきた。



「本当にね。進路なんてまだわかんないのに」


「何言ってんだよー。おまえんちは母親が有名な美容師だろ?だから小学生の頃から将来の夢は美容師って言ってたじゃんか」



隣の席に座る、小学生の頃からの幼なじみの発言にげっと顔をしかめる。



「あ、そうじゃん!この前もテレビで取り上げられてた、“凄腕プロKANA”の娘!なんだ、ほぼ進路決まってるようなものじゃん」


引きつりそうになる頬に力を入れながら、なんとか二人に向けて笑顔を作る。