正解のない喫茶店〜十七歳の迷い人たちへ〜

「起立」



北条さんの合図で、クラスメイトがバラバラと立ち上がる。


そのまま帰りの挨拶をして、ホームルームが終わった。



「北条」



担任の先生が、鞄を肩にかけて帰ろうとしていた北条さんを呼び止めた。


そして、教壇に積まれている今日が締め切りの数学のノートを指差した。



「悪いんだけど、これ職員室に行って俺の机に置いてきてくれないか?これからすぐ会議があって寄ってる暇なさそうなんだよ」


「…わかりました」



北条さんは耳に差そうとしていたイヤホンを無造作にポケットに突っ込むと、お礼を言ってそそくさと出て行った担任に小さくため息をつき教壇に歩いていった。


クラスメイト全員分のノートは、北条さんの華奢な腕が折れてしまいそうなくらい高く積み上がっていた。