キラキラ エフェクトがかかった幼なじみに過剰反応して俺の身体はもう限界

 「彼女、できたかも……」
 「へ……?」

 中二の夏休み、葉琉の家でゲームをしている時だった。俺は間抜けな声を出して、隣でコントローラーを連打している葉琉に視線を移す。その隙をついて、葉琉が操る女性キャラが飛び道具を出して、俺が操るプロレスラーの男性キャラに直撃しノックアウト。葉琉の勝ち。女性キャラはうれしそうにぴょんぴょん飛び跳ねて勝利のポーズをきめていた。

 「っしゃ! 三連勝!」

 葉琉は煽るように俺の頬に指を押し付けたり鼻をつまんだりしている。俺は思考停止してしまい、コントローラーを持ったまま葉琉にされるがまま。そのうち、無反応な俺に飽きたのか、葉琉はコントローラーを放ってベッドに寝転んだ。

 「そうま~喉乾いた~」

 大の字になり俺に甘えた声を出す。俺はそこでやっと我に返る。

 「できたかもって? ”かも”ってなに?」

 葉琉は天井をみつめたままで

 「”かも”じゃなくて、できた……」
 「ほんと? ……葉琉の勘違いとかじゃなくて?」
 「……うん。なんか、夏休み入ってからすぐ告られて、つき合うことになった」

 ごくりと喉が鳴る。

 「へ、へぇ~。だれ? 俺の知ってる子?」

 平静を装おうとがんばったけれど、声は上ずってしまった。

 「たぶん、知ってると思う。一組の、青木さん」

 なんとなく知ってる。黒髪ロングで清楚な感じの女子だ。しゃべったことはないけど。

 「仲よかったっけ?」
 「いや、委員会が一緒でたまにしゃべるくらいかな」
 「そっか……」

その日の夜、俺はなかなか寝付けなかった。葉琉と青木さんが一緒にいるのを想像して、今まで感じたことのない胸の痛みに襲われた。激しい運動をした時の息苦しさや、誰かに怒られた時の不安感とは違う。ペットのハムスターを亡くした時の喪失感に似ているかもしれない。
 そして二人の初デートは地元の神社での夏祭りだった。毎年俺と一緒に行っているのに、今年は青木さんに誘われたからと葉琉に申し訳なさそうに言われた。葉琉の中の優先順位が青木さんより下になってしまったことがショックだった。
 それからも葉琉は、俺と一緒に遊びに行った場所に青木さんを連れて行った。俺との思い出が青木さんとの思い出にすり替わっていく。学校の帰りに公園で初めてキスをしたことも話してくれた。その公園は、小さいころから俺たちが遊んでいた場所だった。その時に心に穴があいたみたいに寂しくなって、涙が枯れるくらい泣いても心の穴は埋まらなかった。しばらくして、中二の2学期の終わりごろに青木さんと別れたと聞かされた。葉琉は俺の前では泣かなかったけど、目が腫れていたから一人で隠れて泣いたんだと思う。葉琉のことをかわいそうだと思ったけれど、それと同時に安心感を感じてしまったことが、自分でも驚いた。もう心の穴は広がらない。これからは俺が葉琉と一緒にいて、葉琉を大事にする。俺は葉琉のことがずっと、ずっとずっと好きだったんだ。それにようやく気付いたのが中二の終わり頃だった。