キラキラ エフェクトがかかった幼なじみに過剰反応して俺の身体はもう限界

 side 蒼真

 幼いころから、俺はマイペースでぼんやりしていた。幼稚園でも友達の輪に入れず、よく用務員さんの花の世話を手伝っていた。母さんはそんな俺を心配していた。そんな時に出会ったのが葉琉だった。葉琉は近所に引っ越してきて、俺を遊びに連れ出してくれた。自分の世界に閉じこもって遊ぶのが好きだったけど、葉琉といるとなぜか心地よくて一緒にたくさんいろんな遊びをした。今思えば、葉琉が俺の世界を広げてくれたんだと思う。あの時もそうだった。

 ーー小学5年生の4月、俺と葉琉はクラブ選びのため、いろんなクラブを見学して回っていた。
 「やっぱサッカーだな。楽しそうだし」
 予想通りだ。運動ができる葉琉は運動部に入ると思っていた。サッカークラブの見学の時は特に目を輝かせていたから。
 「蒼真は? どこに入るの?」
 「どうしよっかな~」
 運動も勉強も苦手で、好きなこともない。入りたいクラブもなくて、俺は困っていた。小学校は帰宅部なんかない。クラブ活動では必ずどこかに入らなければいけない。
 「一緒にサッカー入る?」
 「えぇ~」
 できれば、葉琉と一緒のクラブに入りたいけれど、サッカーはチームプレイだ。運動の苦手な俺が入れば足手まといになる。
 「運動じゃないとこがいいかな」
 「じゃあ、パソコンクラブ、手芸クラブ、放送クラブーーあっ!」
 急に、なにかを思い出したように声を上げる葉琉。
 「放送クラブいいんじゃね? 蒼真、声きれいだし、声マネもうまいしさ!」
 「声がきれい?」
 つき合いが長い葉琉に初めていわれて驚いた。
 「ずっと思ってたんだよな。国語の時間の音読とか、蒼真が読むと聞きやすい」
 「そうかな?」
 「あとさ、あのアニメ映画の悪役」
 「ハッハッハッハッ、わたしから逃げられると思っているのかね」
 「ぶふっ! それそれ!! めっちゃ好き!! 最高すぎるわ!!」
 葉琉が、俺の声マネで腹を抱えて笑ってくれる。それがすごくうれしくて、俺は放送クラブに入ることにした。

 放送クラブに入ると、声の出し方や本の読み方がうまいと先生に褒められた。俄然やる気になった俺は、クラブでわたされた朗読用の台本をたくさん読んで練習した。音楽会で披露する機会があり、両親やクラスメイトからも褒められて、俺は自分に自信がもてるようになった。これがきっかけで、運動や勉強もがんばるようになって、中学の頃にはそれなりにできるようになっていた。友達もたくさんできた。
 葉琉が、俺の世界を広げるきっかけを作ってくれた。葉琉がいなかったら、俺は今頃、自分の殻に閉じこもったままだったかもしれない。

 「葉琉、俺と一緒にいてくれてありがとう」
 「なんだよそれ、照れるからやめろ」
 「へへっ」

 こうやって声に出したくなる瞬間がある。葉琉は照れてそっぽを向いてしまうけれど、俺にとって葉琉は特別な存在だから。