キラキラ エフェクトがかかった幼なじみに過剰反応して俺の身体はもう限界

 学校帰り、近所の公園のブランコに座って黄昏ている俺。なんとなくまっすぐ家に帰りたくなくて、陽が傾いていくのを眺めている。

 『自分の胸に手を当ててよく考えてみたら?』

 詩織から言われたことがずっと頭の隅にあって、俺は素直にそれを実行した。胸に手を当てて目を瞑る。瞼の裏に浮かぶのは、やっぱり蒼真の顔。催眠術を解くときの辛そうな顔。俺と一緒にいるといつも穏やかに幸せそうに笑っていることが多いのに、今思い出されるのは、俺に背を向けて震えながら泣いていた蒼真の姿。

 「お兄ちゃん、ねてるの?」

 突然声をかけられて驚いて目を開けた。目の前には不思議そうに首を傾げている小さな女の子がいた。

 「ちがうよ、お兄ちゃんは泣いてるの」

 もう一人、女の子がやってきた。最初に話しかけてきた子よりひと回り大きいからお姉ちゃんだろうか。

 「ブランコたのしくないの?」
 「きもちわるいの? ゆなもときどきブランコにのってたらきもちわるくなるよ」
 「え~ゆあはブランコたのしいよ? のらないならかわってよ」

 俺は慌ててブランコから立ち上がり、小さい女の子に譲った。女の子はありがとうと言って、うれしそうにブランコにのった。

 「きもちわるいときはね、ママによしよししてもらったらいいよ。そうしたら、きもちわるいのなくなるから」

 お姉ちゃんが得意げに俺にアドバイスしてくれたと思えば、妹の隣のブランコにのってうれしそうに漕ぎだした。

 そういえばーー小学生の時、バス遠足でバスに酔った俺を甲斐甲斐しく介抱してくれた。背中をゆっくりさすってくれて、ハンカチを貸してくれた。みんなは楽しそうにアスレチックで遊んでいたのに、蒼真だけはずっと俺の隣にいてくれた。

 『大丈夫だよ、葉琉。すぐによくなるよ』

 って、優しい声で言ってくれた。その時から蒼真の声を聞くと落ち着くようになった。俺と話している時の弾んだ声も、放送の時に使う穏やかな声も、どちらも好きだ。どんなに周りが騒がしくても、蒼真が俺を呼ぶ声は聞き取れるんだ。それがどれだけ心強かったか、今になってわかった。

 蒼真に、会いたい
 声が、聴きたい
 顔を見て、話がしたい

 「……っ、蒼真」

 気づけば、公園を飛び出して走っていた。