高校の合格が発表されれば、これでひと安心……、というわけにはいかない。
今度は、入学に向けての手続きで忙しくなる。
まずは、合格通知に同封されてくる入学申込書に記入をして、返送しないといけない。そうして入学の意思を表明しないと、せっかく合格した事実が消し飛んでしまう。
そして親たちは、指定された学校の口座に、入学金と授業料の振り込みを行う。
事前に金額を把握していたから、とどこおり無く処理できたけど、あらためて金額を目にすると、やっぱり高額だ。夕陽がどうがんばっても、ぜったいに用意できない。
続いて、制服の準備。
宮ノ森の制服を扱っている専門店に出向いて採寸をしてもらい、制服を作ってもらう。
制服ができるまでに、そこそこ時間がかかるので、入学式に制服が用意できてないなんてことにならないように、最優先事項として、入学の案内でも念が押されていた。
「スカートのみでよろしいですか? パンツもご用意できますが」
「……?」
夕陽は、友菜と一緒に言葉を失う。
店員のおじさんは、真顔で回答を待っている。
「あの、パンツって、パンツですか?」
「はい」
他に何がありますかという顔で、店員さん。
(どういうこと?)
百歩ゆずって、仕立て屋さんがパンツもあつかっているということは受け入れよう。オーダーメイドとか、そういうのもあるのかもしれないし。
でも、パンツというのは、スカートと同列あるいは一対で語るものだろうか。いや、一対と言えば一対なのかもしれないけれど。
「あっ」
友菜は、頬を赤らめながら、夕陽に耳打ちしてきた。
「夕陽ちゃん。パンツって、ズボンよ」
友菜は、男子用の制服を指さす。
ブレザーと対になって、グレーのズボンが展示されている。
「いまの時代、いろいろとあるんですねー。私が学生のころは、気にもしませんでしたけど」
そこで夕陽も納得した。
長らく続いてきた、女子の制服はスカートという固定観念は、性差別につながるのではないかと指摘されることもある。
だから、スカートを履くにしろ履かないにしろ、本人の意思を尊重しようということだ。
「でも、宮ノ森の制服で、ズボンは……」
二本の白いラインが入った紺のカラー、胸元には水色のリボンという、セーラー服っぽい上着に、プリーツスカートを合わせるのがデフォルトの服装。そこにズボンを合わせるのは抵抗がある。
「ええ。ですから、男子用のブレザーを注文されていく方もいらっしゃいますよ」
「それでもいいんだ」
「はい。その日の気分で、パンツスタイルとスカートを使い分けている女の子もいます」
それは惹かれる話。上着がブレザーだったら、スカートでもズボンでも合うだろうし、あと、男装してるみたいで、たのしそうだ。
「夕陽ちゃん、欲しいのだったら両方買ってもいいわよ」
「ううん。いいよいいよ」
入学費に授業料、制服代、そして後日、教科書も買ってもらわないといけない。
夕陽たっての希望で、私立の宮ノ森に進学することを決め、お金を使わせてしまっているのだから、遠慮するところは遠慮しておかないと。
少しでも早く両親から独立して、自分でできることは、自分でやれるようになりたい。
(そうだよね。高校生になるんだから、もっとしっかりしないとだよね)
気合を入れる夕陽をよそに、
「じゃあ、従来の女生徒用の制服だけ……」
友菜は、残念そうに目を伏せる。
今度は、入学に向けての手続きで忙しくなる。
まずは、合格通知に同封されてくる入学申込書に記入をして、返送しないといけない。そうして入学の意思を表明しないと、せっかく合格した事実が消し飛んでしまう。
そして親たちは、指定された学校の口座に、入学金と授業料の振り込みを行う。
事前に金額を把握していたから、とどこおり無く処理できたけど、あらためて金額を目にすると、やっぱり高額だ。夕陽がどうがんばっても、ぜったいに用意できない。
続いて、制服の準備。
宮ノ森の制服を扱っている専門店に出向いて採寸をしてもらい、制服を作ってもらう。
制服ができるまでに、そこそこ時間がかかるので、入学式に制服が用意できてないなんてことにならないように、最優先事項として、入学の案内でも念が押されていた。
「スカートのみでよろしいですか? パンツもご用意できますが」
「……?」
夕陽は、友菜と一緒に言葉を失う。
店員のおじさんは、真顔で回答を待っている。
「あの、パンツって、パンツですか?」
「はい」
他に何がありますかという顔で、店員さん。
(どういうこと?)
百歩ゆずって、仕立て屋さんがパンツもあつかっているということは受け入れよう。オーダーメイドとか、そういうのもあるのかもしれないし。
でも、パンツというのは、スカートと同列あるいは一対で語るものだろうか。いや、一対と言えば一対なのかもしれないけれど。
「あっ」
友菜は、頬を赤らめながら、夕陽に耳打ちしてきた。
「夕陽ちゃん。パンツって、ズボンよ」
友菜は、男子用の制服を指さす。
ブレザーと対になって、グレーのズボンが展示されている。
「いまの時代、いろいろとあるんですねー。私が学生のころは、気にもしませんでしたけど」
そこで夕陽も納得した。
長らく続いてきた、女子の制服はスカートという固定観念は、性差別につながるのではないかと指摘されることもある。
だから、スカートを履くにしろ履かないにしろ、本人の意思を尊重しようということだ。
「でも、宮ノ森の制服で、ズボンは……」
二本の白いラインが入った紺のカラー、胸元には水色のリボンという、セーラー服っぽい上着に、プリーツスカートを合わせるのがデフォルトの服装。そこにズボンを合わせるのは抵抗がある。
「ええ。ですから、男子用のブレザーを注文されていく方もいらっしゃいますよ」
「それでもいいんだ」
「はい。その日の気分で、パンツスタイルとスカートを使い分けている女の子もいます」
それは惹かれる話。上着がブレザーだったら、スカートでもズボンでも合うだろうし、あと、男装してるみたいで、たのしそうだ。
「夕陽ちゃん、欲しいのだったら両方買ってもいいわよ」
「ううん。いいよいいよ」
入学費に授業料、制服代、そして後日、教科書も買ってもらわないといけない。
夕陽たっての希望で、私立の宮ノ森に進学することを決め、お金を使わせてしまっているのだから、遠慮するところは遠慮しておかないと。
少しでも早く両親から独立して、自分でできることは、自分でやれるようになりたい。
(そうだよね。高校生になるんだから、もっとしっかりしないとだよね)
気合を入れる夕陽をよそに、
「じゃあ、従来の女生徒用の制服だけ……」
友菜は、残念そうに目を伏せる。

