「べつに私がいなくたって、三馬鹿トリオで遊べばいいじゃない」
「なーにいってんだよ。紅羽がいないと意味ねーって」
冴はさらにくちびるを尖らせて、ムスッとした子どもみたいに拗ねてしまう。
もう、手が焼ける。
あからさまに不機嫌になってしまった幼なじみをなだめようとしたとき、頭をぽん、となにかで軽くたたかれた。
「三馬鹿って聞こえたよ、紅羽」
聞き慣れたやわらかい声に視線を向ける。
都(みやこ)がすぐそばに立っていた。
たしか授業が終わったあと、先生に呼び出されていたはずだけど。
冴とは対照的な白い肌は、汗ひとつかいていない。
清涼感あふれる濡れ羽色の髪が、窓から吹きこむ夏の風にサラサラと揺れていた。
「あれ、おかえり都。早かったね」
「まぁね、ただいま……じゃなくて。馬鹿って聞こえたんだけど、馬鹿って。これでも俺、元生徒会長なんだけどな」
都は手に持つノートを机に置きながら、ゆっくりと自分の席についた。
「あ……それは、例えだよ!例え!」
「例えにしちゃひどい扱いだね。紅羽も入れて四馬鹿にしてあげようか?」
「うっ、ゴメンナサイ……」
ジト目でこちらを見てくる都に両手を合わせる。

