4人の間に緊張感がただよう。



誰もが幼いころから、両親や祖父母に語り継がれてきた言い伝えだ。
私なんかはじめて聞かされたときはとても恐ろしくて、しばらくは昼間でも外を歩くのが怖かった記憶がある。



そして成長した今だって、唐獅子様は"怖いもの"だと体に染みついている。
この村の人間は、みんなそういった認識なのだ。




「これって唐獅子様を祀っている祠なのかな」


「でも唐獅子様はお山の頂上にある本殿に祀られているし……分社といってもあまりにわかりにくいし扱いが貧相すぎる気がする」




私の言葉に、都が祠をじっと見ながら言った。



じゃあ一体なんだっていうの……?




「……結界なのかもしれないね」




ひとりこの場を静視していた優が、ふとこぼした。



まさか、なんて流すことはできなかった。
祠にはまぎれもない唐獅子様の名前が刻印されているから。




「オレもそう思う。見ろよ」




冴が指さしたのは祠の中腹部。
くり抜かれたような空洞がある。



立ちすくんでいた私と優は、共に膝を折ってしゃがんだ。



目に入ったのは、縄紐のようなもので束ねられている黒い物体。




「なに、これ」


「おそらく……髪の毛だろうな」




断定はできねぇけど、と冴が加える。
ごくりと生唾を飲んだ。




「贄の代わり、なのかもね。人の髪というものは、神格的なものとして扱われることもあったから」




都はそう言うと、祠を一瞥してからゆっくりと立ち上がる。
それにならうように私たちも腰を持ち上げた。
ぞわぞわと背筋に冷たいものが這う。



空が血のように真っ赤に燃えていた。



えもいえない不安感がたちこめる。