その帰り道
行きつけの駄菓子屋に寄ってしばらくダラダラと過ごしていると、いつのまにか空がオレンジ色になっていた。




「やっぱり夕方は涼しいね」

「だな」




隣を歩く冴が、夕焼けを見ながら返してくれる。



駄菓子屋をあとにした私たち。
虫の音に囲まれながら畦道を歩いていれば、心地よい風が吹いてきた。



うだるような熱気は姿をひそめ、昼間の暑さを乗り越えたご褒美のような涼しさが頬を撫でていく。



前を歩くのは都と優。
私と冴はそのうしろを歩いていた。




「なー聞いてくれよ。紅羽が夏休み遊べねーんだってさ」




冴が唐突に声をあげた。



その言葉に、都と優が立ち止まってこちらを振り返る。
一方、突然自分の話題を出された私は、まぶたが大きく見開くのを感じた。



どうやら冴はまだ拗ねていたらしい。




「ふーん、そーなの紅羽」




興味があるのかないのか。
優は乾いた視線を投げてきた。
それに対して、私ではなく都が口を開く。




「紅羽は進学するから勉強しないといけないんだよね。俺たち就職組とはだいぶ大変さが違うもん」




言わずとも理解を示してくれる都が「ね」と優しく笑いかけてくれる。
どこかの誰かさんとは大違いだ。




「そうなんだよね。この夏はちょっと頑張らないとなって。だから……応援してくれると嬉しい」




罪悪感が無いわけではない。
みんなで集まって過ごす夏休みに、今年は私だけがいないんだ。



当たり前の場所に空白ができることがどれだけ寂しいのか。
想像できないほど子どもではない。
それに私だって本当は……みんなといたい。




「もちろんだよ。俺できることがあれば協力するからね」


「ふぁいとー。応援してる」




都と優はすんなりとうなずいてくれた。
そしてひとり不満そうな冴に目をやる。