冴と優のじゃれあいにしばらく笑い合ったあと、私たちは教室を出た。
部活動をしている生徒の盛んな声が響いてくる。
正門までの通路を歩いていると冴が誰か見つけたらしく、グラウンドを囲む緑色のネットの向こうがわに声をかけた。
視線の先にはサッカー部であろう部員たち。
休憩中なのだろうか。
その大所帯の中から、ひとりの男子がこちらに気がついた。
「おーい!八尾ー!」
「どこにいても声がでけぇなお前は」
迷惑そうに駆けてきたのは、隣のクラスの八尾(やお)。
3人ほどではないがかなり親しい間柄の男子だ。
よくうちのクラスに遊びにくるし、部活が休みの日なんかは一緒に帰ることもある。
特に冴とは家が隣なこともあり、家族ぐるみの付き合いだ。
遠慮なくお互い好き勝手言い合える深くていいコンビだなと思う。
八尾の日に焼けた焦げ茶色の髪が汗に濡れている。
それでも目もとは涼しげで、普段の飄々とした佇まいは夏の暑さなんかじゃ崩れない様子だ。

