来世まで、貴方のお傍に。


女性は結婚が全てだと誰が決めたのだろうか。私は結婚が人生の中で一番幸せだとは思わない。

誰かに縛られた生活。
女は家を守り、男は稼ぎに出る。

そんな腐った世の中で、あるひとつの考えはみんな決まって口にする。

『早く結婚して後継を生みなさい。そうしたら幸せな未来を約束できるわよ』

昔、お母様、お祖母様、お姉様に何度も言われた言葉。私にとって結婚は幸せでは無い。

でも……この国では、異能もちの家系は契約婚を必ずしなければいけないという最悪な“決まり”があった。

***

「小夜。早く準備しなさい」

「……はい、お母様」

私の周りの人は皆せかせかと動く朝。
今日はいつも以上に家の人が忙しく動き回っている。

それもそのはず。

今日は……私(月見里家)と神楽家の結婚……つまり祝言をあげる日だから。みんな嬉しそうに、楽しそうに準備をする。

私はそっとため息を着いて部屋にある白無垢を見上げた。

こんな着物着たくなかった。

私は結婚なんてしたくない。

そう思ってもこの事実からはこの国では逃れられなかった。

「ほら、白無垢を着るよ。時間ないんだから早く準備しな」

ぼんやりしているとお母様の苛立つ声が聞こえた。そろそろ準備しないと本当にまずい。

「すみません。今から準備します」

そう言って、私は重い腰をあげた。


私、月見里小夜は異能家系の次女として生まれた。妖の多いこの国で重宝される言霊師として活動している。

さらにもうひとつ。

妖限定で封印する力も備わっている家系なのだ。そのふたつは皇帝様も一目置くような貴重な存在。

だからこそこの力を残したくて皇帝様から、後継を産むようにと妖と契約や封印のできる家系神楽家と契約婚を強いられた。

皇帝様から命じられた契約婚は絶対に断れない。お姉様はいるけど家を守らなければいけないため別の殿方と婚約していた。

つまり、残っているのは私だけ。

齢17歳で決まったこの婚約。

両親からばっちりと異能を受け継いだ私は拒否権もなく神楽家に嫁ぐことになったのだ。


「……うん。よく似合ってる。これからは相手の家に迷惑かけないよう嫁としてしっかり支えなさいよ」

白無垢に着替え、お母様やお姉様、お父様に見守られながら式の会場に着いた。結婚したくないという気持ちが顔に出ていたらしい。

お母様はため息を着きながらそう忠告してきた。

「なれたら大丈夫よ。私も旦那と上手くやってるし」

「月見里家の名誉と異能のために頑張れよ。お前は立派な娘だ」

お母様に続くように2人も声をかけてくる。その声がもううんざり。