焼肉合コンの後で寝取ってやる

 俺は反町宗太郎(そりまちしゅうたろう)

 焼肉好きで、時々自分でもちまちまと料理している。
 時々、一品料理を作り上げるが、たまには逸品になるものがあり、こっそりとだが喜んでいるほどの料理好きだ。

 さてと、今日は親友の小山内修二(おさないしゅうじ)から誘われて合コン会場に向かっている。小山内は彼女がいるにも拘らず参加する。彼女に悪いとは思わないのだろうか。俺には理解できない。

 彼女は大学のマドンナと呼ばれている娘である。正直、普通なら飛び上がって喜んでお付き合いするというレベルの恋人である。悔しい。普通は合コンなんて行かないだろうに。

 そもそも小山内の奴は彼女と幼馴染という立場を利用してくっついただけだ。

 上手いことやりやがって。……こういう感想を同学部の連中はじめ、サークルのメンツ、学年を超えた運動部の猛者どもまでが同じ感想を述べるほどだ。

 彼女は幸せなのだろうか?

 幼少の頃から傍にずっといた小山内。イジメからも庇い、彼女を解放し、勉強を一緒にし、夏祭りには浴衣で花火を鑑賞し、クリスマス、初詣、そしてプールで水着の鑑賞をしているという羨まけしからん、そんなお付き合いを続けているのがその二人のカップルである。

 しかし、どうやら最近は小山内の浮気癖が増長、たぶん、彼女という筆頭の美女を連れているために、自分すらも格好いい、飛び抜けた漢になっていると勘違いしているのだろう。

 俺こと反町宗一郎は考えていた。俺が彼女を救いたいと。きっと俺との方が幸せになれる筈だ。

 ただ、接点がないんだよなぁ。
 親友の小山内といっても、彼女を紹介はしてくれない。彼は友人だろうと彼女を紹介すると寝取られてしまうという強迫観念に罹患(りかん)しているのだ。

 やつはラノベの読み過ぎだろう。そうそう幼馴染が寝取られる筈はないだろうが。

 いや、すまん。今日、俺が寝取ろうとしているんだ。悪い。
 鬼と呼んでくれてもいいぞ。後悔はしていない。まだ始まってもいないが。

 ふふふ、というのは、彼女が今夜の合コンに来るよう、俺が女友達にお願いして手配しておいたのさ。

 ◇

「「かんぱーーーーーい」」

 背中に壁がある方に女性陣が座り、廊下側に俺たち男性陣が座った。四人同士の合計八人の合コンが始まった。

 狙い通り、小山内の彼女が参加している。
 一方、小山内は俺の右横にいるのだが、端っこだ。顔を見ると青ざめている。

 俺が彼女を誘った文句は、彼氏の小山内が浮気をしようと合コンに来るらしい。
 裏切りだよね? だから君も合コンに参加して目を光らせるようにした方が良いというものだった。

 ふふふ、小山内めが。
 浮気をするために合コンに参加したのもバレてしまって何も出来まい。

「「かんぱーーーーーい」」

 おや? またか。何回も乾杯するんじゃねーよ。

 この合コンでは乾杯の音頭で席替えが行われる。つまり彼女の側に寄るために乾杯を幹事が繰り返すのだ。彼女の魅惑的な香りに誘われて、男たちが群がって行く。

 俺のチャンスを奪うんじゃない。これでは親しくなる前に合コンが終わってしまいそうだ。

 ◇

 ようやく俺の隣に彼女が来た。近くで見ると本当に可愛いな。

「可愛いね、キミ。俺のタイプだよ」
『もう、何を言うんですか~、まったく、もう』

 すでに酒をがんがんと飲ませているせいか、会話が異常な程に弾む。

「君の彼氏の小山内はね、カバンの中に時々キミの写真集を入れているんだよ。彼女なのにね。新聞部が特集したやつだよ。ちゃんと買ったんだね。あ、このことは秘密な。二人だけの秘密」

『あははーっ、わかったぁ』

 フフ、作戦……ミッションは順調だ。二人だけの共有する秘密。
 怪しい飲み会中心のテニスサークル、NTRerご用達のマニュアル通りだな。

 一方の小山内は焼肉をつつきながら、正面の根暗女子、横の陰キャ女子らに会話を強いられているようだ。愛想笑いをしながら付き合っているように見えた。チラチラと自分の彼女の方を見るが、彼女は俺との会話に盛り上がっており、完全に彼氏である小山内を無視していた。

 よし、誘うか。

「ねぇ、まだ話したりないな。二次会行くの? もしよければ二人で話をしたいな。二人だけの秘密の話をしよう」

『ううん、行かない』

「俺の部屋でも焼肉の料理をするぞ。その料理風景を見せてあげる」
『あ、それなら少し見たいかも』

「逸品、いや一品のお勧めがあるんだ」
『うーん、どうしよっかなぁ~』

 もしラブホが嫌だと言ってきたら俺の自宅に連れ込もう。アパートだから独り暮らしだ。音がよく漏れるが気にしない。隣のおじいさんは耳が遠いのだ。大丈夫、上からドンってされたら「ごめんね!」と謝ればいい。

 小山内が真剣な顔をして俺たちの方を見ていた。

 ◇

 彼女が『お花を摘みに行ってきますね』と言って席を立った。

 その隙に小山内が俺に近づき、背中を(つつ)いてきた。

『おい、反町、止めろ、俺の彼女を誘うなよ』

「誘ってねーよ、俺が親友の、小山内の彼女を誘うわけないだろ」
(フッ、すでに遅いぞ小山内。もうトイレの後で店の外で合流する約束を交わしているんだよ)

『そ、そうだよな……。ごめん、反町を疑ってしまった。そんなことする奴じゃないもんな』

「ったりめーだよ。お前の恋人なんだから、もっとどっしりと構えておけや」

 そして小山内が根暗女子らとの会話で俺から目を離した隙に店外にささっと抜け出した。外には彼女がいた。白いワンピースの清楚な姿だ。相変わらず外で見ても奇麗だった。偶然、道行くサラリーマンすら必ず目を注いでいる。

 ざわざわ……

 彼女の周囲にいたサラリーマンたちは、彼女のあまりに完成された美しさに言葉を忘れていた。均整の整った体型、人離(ひとばな)れしたスタイル、動作と共に香り立つような女性フェロモン、埃とは無縁の美しい髪をした美少女が無防備に一人で立っていた。

 ざわざわ…………

 まるで妖精とまごうような美少女は厳かに焼肉屋の前を通過し、微笑みを(たた)えながら道の奥へと進んでいく。

 コツコツ……道は静寂になった。静粛な雰囲気は雑談すら(はばか)れる。しかし人は多い。彼女の足音は響いていた。すれ違う買い物帰りの主婦やサラリーマンたちはその美少女の香りにハッとし、男女問わず脳に直接、性的な欲求を浮かび上がらせる程であった。

 ざわざわ…………が止んだ。

 全ての人は女神様降臨かと勘違いするかの如く、時間が止まったかのような静寂の中、平伏(ひれふ)しそうになった。

 彼女の周囲は、まるで神話のような光景であった。
 美術品のような美少女は周りの視線を(まと)わりつけながら反町との待ち合わせの場所へと向かっていた。



 ガキッ、ズルル、バァーン……


 彼女は足をひねらせてこけそうになったものの、踏ん張って姿勢を戻そうと足に力を入れ、制御しようと頑張った拍子に、電信柱に頭をぶつけてしまった。



「あら、大丈夫ですか……?」

 思わず声を掛ける買い物帰りの主婦。

「い……いちゃい……泣きそうでしゅ……うう」

 彼女はうるうるした泣きそうな目で主婦に心の中で助けを求めた。まるで捨て猫が新たな飼い主を求めるかの如く。

「大丈夫ですか? なんだか凄い音がしましたけど。救急車でも呼びましょうか?」

「しゅ……しゅみましぇん……だ、だいじょーびでふ」

 遅れて店を出た反町はこの光景を目撃し、感慨深く溜息を吐いた。

 くっ! こんな可愛く自慢に出来る彼女を得ていた小山内は、ほぼ毎日こんな気持ちを味わっていたのか。羨ましすぎるぞ!

 ◇

 だが、今までは羨ましかったが今夜は違う。俺が彼女とラブラブになる第一歩。すまないな、親友。

「待たせたね」
『ううん、待ってないよ』

 声を掛けながら彼女の傍に近寄り、店を振り返って小山内が後を追って来ていないのを確認した。

「じゃ、行こうか。気兼ねなく過ごせるなら休憩宿泊施設があるけど、大丈夫かい?」

『う、うん。いいよ』
(え”っ、いいのか?)

 あっさりオッケーが出てこっちが驚いた。そして左腕に彼女が腕を絡ませてきた。彼女の胸にも当たる。そしてホテルへ向かった。こんな簡単に大学のマドンナがゲットできるだなんて。

 NTR(寝取り)簡単すぎ。信じられないぜ。

 ホテルの中に入った。

『ねぇ、これ飲んで。ミカジューって飲み物なの。焼肉の後で飲むの私大好き』(#)
「へぇ、知らない飲み物だな。ありがとう。いただくよ」

 香りと共に精力がみなぎる感じがした。

『あ、ちょ、ちょっと待って、あっ、反町くん、わ、わたし……いや、いやん』

「いいじゃないか、可愛いよ。とっても可愛いよ」

『わたしには修二(小山内)くんがいるのに、だ、ダメ、だめだったらっ! そんなとこ……』

 じゃ、小山内、悪いけど彼女を美味しく頂きます。

 ◇

 僕は小山内。

 あれから数日、反町君を見ていない。大学にも来ない。どうしたんだろう?

 まさか僕の彼女と一緒に出掛けたのだろうか?

 合コンの時に彼女がいなくなったのに後で気づいた。反町君もいなくなっていた。でも、僕が声を掛けた時は『小山内、お前の彼女をどうこうすることはしない』と言っていたじゃないか。

 心配だ。

 彼女が焼肉合コンの時に、さりげなく彼・反町の方へ歩みを進め、隣に座り、仲良く会話をするさまを見て、嫌な予感、妙な危機感を持っていたんだよね。

 会わせないようにしていたのに。

 彼女から彼を守れなかったか……。

 だって、僕の彼女はサキュバスなのだから……




 ―――小山内は「彼女には悪気がないんだ」と独り言を漏らした。







【Fin】





★リハビリ投稿です。よくあるNTRオチにしました。AIは使用していません。
ちゃんと表現が出来ていたでしょうか。脳破壊されましたか?
物語が成り立っているとしたら幸いです。

反町は精気を吸われ密室でヘロヘロになっています。死んでしまうかもしれません。
彼氏の小山内は幼少期より身体を鍛え、彼女の行いにも耐えられるようにしていました。




気になった人だけ
(#)謎の飲み物ミカジュー
森の隠れ家
https://novema.jp/book/n1764021/3
長~いページです。参考までにボツ短編集内です。(R15ギリギリアウトかも)