『お前、誰?』――朝の光と、強面イケメンと、戻らない記憶。

まぶたに当たる光と、遠くで聞こえる鳥のさえずり。

あぁ、朝だな。

そう思って身を起こそうとした手が、何かにぶつかった。
ベッドの横に常備してる防具ではない。
いざというとき用の笛でもない。
――柔らかくて、熱を感じるものだ。

手を動かしてみても端が見つからない。大きい。
何度か感触を確かめてみたが、それ以上の情報は得られなかった。

『体を起こすまで目を開けない』というのが俺のポリシーだったが、背に腹は代えられない。

とりあえず薄目を開けてみた。

目の前に見えるのは、よく焦げた肌色。

正直、なんとなく予想はしていた。
肌の感触っぽいとは薄々思っていたのだ。
思ってはいたが、頭が理解を拒む。

もう少しだけ目を開けてみた。
視界に広がるのは、やっぱり濃いめの肌色だ。

とりあえず、近すぎる。

どっからどう見ても、相手は男だ。
さっさと離れるに越したことはない。

俺は別に男が好きなわけじゃないし、この肌の壁は恋人でもなんでもないはずだ。

と、いうか。

え、俺、恋人とかいたっけ。あれ。
いやいや、ちょっと待て。そんなわけがない。あり得ない。

いや。マジで待ってくれ。

――俺は、誰だ?