同じ朝だけが違っていく

私は自分の右手を見つめた。

血で汚れている手。それと同時に彼女に最後に触れた手でもある。冷たかった。

何度洗ってもあの感触は消えない気がした。

指先に残る感覚を振り払うように、私はぎゅっと拳をにぎりしめた。

そして、気を紛らわすために視線をキョロキョロと動かすと、机の上に投げ出された携帯に目が止まった。

私は何気なく手を伸ばし、ロックを解除すると、ホーム画面には満面の笑顔の彼女がいた。

まるで向日葵のような笑顔だ。

しかし、もうこの笑顔は画面の中でしか見れないんだ。

そう考えると、熱いものが眼にこみあげてきた。

すると、そのときぼやける視界の中で通知が表示された。

クラスChat 99+

楓の話がもう広まっているのかと思い、私は嫌な予感がして、震える手で通知を押した。

クラスラインを開けた瞬間、一つの画像が真っ先に目に飛び込んできた。

雨に濡れた道路。赤いランプ。そして、多くの野次馬の真ん中に倒れている人。

それ以上はみることができなかった。彼女の事故現場が晒しものになっている。その事実に対して沸々と怒りが湧いてきた。そして、画面を閉じようとした、そのときだった。

新しいメッセージが流れた。