あ〜ぁ、ダメだ。
なんか
なんか刺激的な物は
やっぱり……無いかぁ。
じゃあこれは?
鼻つまんで口押さえる…とか。
いや、いや、普通に息しちゃってるし。
ほっぺたをツネるも追加してみるかなぁ。
って、これは全然使えない…。
瞼と瞼がくっついて
ヤバい
どーしよう?
最近寝不足だったから
・・・・・・・・
「宮代くん…」
「宮代くんってば、、おい…なぁ」
「・・・・・」
「おい、青、やばいって。起きろよ」
「んん?」
「おーい、宮代くん、お昼寝の時間か?先生の声は聞こえてるか?」
「!!……、はい!」
ガタッ
先生の声で目が覚めた。
覚めたと同時に思わず立ち上がってしまった。
「昨日は勉強で忙しかったのか?」
「え〜〜っとぉ、あのぉ、ちょっと…だけ」
「さっきから白目むいて眠気と戦ってたのは分かるが流石になぁ…。
気づいてしまった以上、何事もなかったって言うわけにはいかないんだよなぁ〜。居眠りした罰として放課後にボランティア活動な」
「ボランティア?」
「そう、ボランティアだ。えっとぉ、今日の掃除当番は誰だ?」
「俺…です」
「高砂くんか。なら宮代くんは掃除当番の手伝いとして、黒板消しと、ゴミ捨てと、あとホウキな」
「ええっ!高砂くんとですか?」
「なんだ……不満でもあるのか?
嫌ならトイレ掃除でもいいんだぞ。全部立派はボランティアだからな」
先生・・・
まさか?
冗談だろ。
ボランティアという名のただの掃除じゃないか。
「あのぉ…」
「なんだ?」
「先生の肩揉みとかは…どうかなぁ〜なんて」
「はい、却下」
「なんでですか?そっちでも別にいいんじゃあ」
「居眠りの代償は掃除だ…分かったな」
「はい…」
「あ〜ぁ、俺ちゃんと起こしたからな」
「分かってるって高砂くん、ありがとう」
確かに遠くの方で僕の名前をよぶ声が聞こえた気はした。
「でもお前、宮代くんって呼んだ時には反応しなかったのに青には答えるのな」
「そうだった…?」
そんなことより高砂くんともっと距離を取らなければダメなのに。
先生…なんて事してくれるんだよ。
「はい、じゃあ、今日の授業はここまで。
質問があれば後で職員室にくるように。
あっ、宮代くん、ちゃんと掃除の手伝いしてから帰れよ。分かったな」
「はーーい、分かってますよぉ」
【 放課後 】
じゃあ、また明日な〜。
おーっ、バイバ〜イ
教室から一人また一人と帰っていってしまう。
「青、悪いけど俺たち先に帰るわ。掃除頑張れよ」
「あっ、うん…。また明日な」
友達も先に帰ってしまった…仕方ないよな。
「高砂くん、ぼく黒板消しするよ」
「あぁ、じゃあ俺はホウキではくから」
よぉし、気を取り直してさっさと終わらせよう!
って…
あれ?
チョークってこんなに黒板消しに密着するもんだったっけ?
消したはずなのに黒板が真っ白だ。
仕方ないなぁ〜。
黒板消しを先に綺麗にするか。
キュイーン ウイーーン ギュッ キュー
なに、なに…?
黒板クリーナーから変な音が。
「ねえ、変な音しない?」
「どれ?」
「これ…」
もう一度黒板クリーナーに押し当ててチョークの粉を吸い込ませてみる。
ギュッキューっと音をたてるだけで全然吸い込んでいかない。
「……あぁ、チョークの粉でいっぱいなんだよ。
黒板消しを直接叩いた方が早くない?」
「あっ、そうか!じゃあ叩いてみるよ」
ぱんぱんぱん ぱんっ!
ヤバッ、思った以上にチョークの粉が中に溜まってたみたいで……真っ白な粉が僕達二人を包み込んでいく。もしかして僕、間違えた?
「ベーークション」
「…くしゅん」
ふぇふぇ
「窓開けろ、窓!」
「ご、ごめん」
ガラガラガラッ
真っ白な粉が外に舞い散っていく。
最初から窓の外でやればよかったのかぁ。
「ふうーーっ、なんとか助かったぁ、よかったね高砂くん」
「お前……」
あっヤバい、怒られそう
「えーーーっとぉ、僕、そろそろゴミを捨てに行ってこようかなぁ〜」
「まて」
「へっ?」
「ホウキで履いたゴミをまだ集めてないだろう」
そうだった。
なぜか僕がチリトリを持って高砂くんがホウキでゴミを集めて。
二人で協力しての掃除当番を…なんでしちゃってるわけ?
違う、ちがう、そうじゃない!
こんなに仲良く掃除する予定じゃなかった。
「僕、今度こそゴミを捨てに行ってくるから、じゃあね〜」
「だから…まてって」
「なんだよ、もう〜」
「そのチリトリは置いて。
はいゴミ袋、一緒に持ってくよ」
「・・・・・そっか」
また二人きり。
なんで毎回こうなるんだよぉ。
離れたいのに。
「ゴミ置き場はこっちだから」
「あっ、うん」
「あれ、今日は誰もいないな」
いつもは事務員さんがそばで見張っていて、余計な物が入っていないかチェックしているらしい。
弁当の残りとか、生ゴミは絶対にダメなんだって。
「ねぇ、ここに放り込めばいい感じ?」
想像以上に狭いそこはゴミ袋が重なりあっていた。
「うん、それでいいと思う」
よし、早く…
早く放り込んで
ここから退散だ。
「高砂くん、ちょっとどいててよ!」
「へっ?」
「えーーい」
思いっきりゴミ袋を放り投げた。
「あっ、まだ…まって」
うわああぁぁぁあっ
放り投げた瞬間、底が勢いよく抜けてゴミが辺り一面にちらかってしまった。
うそだぁ…。
「底が抜けそうだったから持ち上げようとしたのに、お前があんなに勢いよく投げ捨てるから」
「ごめん、そうだったの?すぐ拾うから」
学校のゴミ袋って使いまわされてるのかって思うくらい薄いんだよね。
ほとんどが紙クズ➕ホコリなのにぎゅんぎゅんに伸ばして使うからこんな事になるんだ。と文句の一つも言いたくなる。
「ぶっ、ははは、頭」
「えっ?」
頭を優しく撫でるような素ぶりに、思わず高砂くんの腕を掴んでしまった。
「頭の上に乗っかってるゴミを取ろうと思っただけなんだけど」
「あっ、そ、そうなんだ」
しまった…掴んでしまった腕のやり場に困ってしまう。
慌てて手を離した。
「ほら、これ。頭のゴミ取れたよ…」
「ありがとう…」
「うん。じゃあ、片付けて戻ろうか」
「あとは僕がやっておくから先に帰っていいよ。
僕が散らかしたようなもんだし!ね、ね、」
「二人でやれば早いだろ」
いきなりの正論返しか。
いや、この空気感が耐えられないだけなんだから。
お願い、
『じゃあ、宜しく』って言って帰ってくれていいんだよ。
「やっぱり、青だな」
「!…な、なに?」
「だって宮代くんじゃ起こしても起きなかっただろ」
「それ言うのやめろよ」
「あっ、嫌なの?ふーん」
なんだよ、さっきから。
あっ、ガラス玉。
ポケットの中のガラス玉って今どうなってる?
見たいなぁ。
理由はわからないけど、なぜか急にそんな思いが頭をよぎった。
「えっとぉ…。
じゃあ、さっさと片付けて早く帰ろうよ」
「そうだな。帰るか」
ズコッ……。
マジで?
急にはやっ!
切り替わりが早過ぎだよ〜、高砂くん。
でも、そういうところ
なんか高砂くんって思った以上に面白いやつかも。
なんだかんだで今日の掃除は無事終わったけど、
あぁ 〜 つ、か、れ、た。
【大学研究室】
「途中経過の報告に来ました。」
「対象者から『青』と名前で呼ばれたんですね」
「はい、そうです」
カタカタカタカタ……
「ルールを追加します」
「えっ、追加…ですか?」
「ルール3、名前を呼ばせない」
「ちょっと、待って下さい」
「対象者との心理的距離が縮まっています。
このままでは正夢到達率が上昇します」
「そんな…」
もう破っちゃってるよ…。
今さら追加されてもなぁ。
後付けルールって意味あるのかなぁ。
「一回だけなら大丈夫なんですか?」
「破ったから終わりと言うわけではありません。
正夢を防ぐ為の指針ですから」
「…分かりました」
未知なんだ。
帰り道がこんなに重く感じたのは初めてだ。
名前を呼ばせないなんて、そんな事出来るのかなぁ
呼ばれそうになったら口を押さえれば……。
いや、
できるかあぁぁーーーっ。
想像するだけでも恥ずかしいわ。
あっ
僕から話しかければ名前呼ばれないんじゃない?
……天才!
そもそも話しかけたら一緒にいる時間増えるじゃん。
ダメだ
全然天才じゃなかった…。
そうだ…ガラス玉
空に透かして覗いてみた。
大丈夫
まだ、曇ってない。
赤いミサンガもガラス玉も
僕に印を示してくれるはず。
残り10日
240時間
まだまだやれる事はあるはず!
次は…
…ん?
あっ
あれだ!



