わたしが怯んだその一瞬に、あいつはわたしの腕を掴んで引っ張ったため、思いっきり机にからだをぶつけて床に倒れた。その拍子に机の上に置かれていた教科書や文房具も床に落ちてちらばった。
掴まれた腕も、机にぶつけたところもずきずきと痛い。
でもそんなことを考えている余裕はなくて、手にふれた物を片っ端からあいつに向かって投げつけたけれど、酔っているあいつは痛みも感じないのか薄ら笑いを浮かべるだけだった。
あいつは強い力でわたしを抑え込むと、馬乗りになって酒臭い息を近づけてくる。
無我夢中で抵抗したけれどびくともしなくて、そのうち泣き叫ぶ口に制服のスカーフをつっこまれて声を出す自由も奪われた。
太ももを湿った手が這う感触に恐怖がからだを支配して、涙を流すことしか出来なくなった。
全てをあきらめかけたその時、頭のすぐ上でスマホの着信音が流れた。
それは大好きなGReeeeNの曲で「あの日のオレンジ」。この場には相応しくないその曲はずっと鳴り続けた。
この着信音は、梶葉くんからの電話。
あまりにも長く続く着信音に苛立ったあいつがスマホに手を伸ばした瞬間、床に落ちていたシャーペンを掴んであいつの太ももに思いっきり刺して、それを更にぐいっと動かした。
「――っ! 何――しやがる」
ひるんだあいつを力一杯押しのけて部屋を出ると、玄関へ向かった。
振り返ることなく玄関のドアを開け放ち廊下へ出ると、逃げる途中で非常ボタンを押した。階段を駆け下り、3階まで下ったところで初めて立ち止まり上を見上げたら、あいつが下を覗き込んでいて目が合った。
その嘲笑う顔に、上を見たまま一歩踏み出そうとしたところで、靴を履いていなかったわたしは足を滑らせ階段を転げ落ちた――
落ちる瞬間、梶葉くんのことを思った。
梶葉くん……
梶葉くん……
梶葉――
掴まれた腕も、机にぶつけたところもずきずきと痛い。
でもそんなことを考えている余裕はなくて、手にふれた物を片っ端からあいつに向かって投げつけたけれど、酔っているあいつは痛みも感じないのか薄ら笑いを浮かべるだけだった。
あいつは強い力でわたしを抑え込むと、馬乗りになって酒臭い息を近づけてくる。
無我夢中で抵抗したけれどびくともしなくて、そのうち泣き叫ぶ口に制服のスカーフをつっこまれて声を出す自由も奪われた。
太ももを湿った手が這う感触に恐怖がからだを支配して、涙を流すことしか出来なくなった。
全てをあきらめかけたその時、頭のすぐ上でスマホの着信音が流れた。
それは大好きなGReeeeNの曲で「あの日のオレンジ」。この場には相応しくないその曲はずっと鳴り続けた。
この着信音は、梶葉くんからの電話。
あまりにも長く続く着信音に苛立ったあいつがスマホに手を伸ばした瞬間、床に落ちていたシャーペンを掴んであいつの太ももに思いっきり刺して、それを更にぐいっと動かした。
「――っ! 何――しやがる」
ひるんだあいつを力一杯押しのけて部屋を出ると、玄関へ向かった。
振り返ることなく玄関のドアを開け放ち廊下へ出ると、逃げる途中で非常ボタンを押した。階段を駆け下り、3階まで下ったところで初めて立ち止まり上を見上げたら、あいつが下を覗き込んでいて目が合った。
その嘲笑う顔に、上を見たまま一歩踏み出そうとしたところで、靴を履いていなかったわたしは足を滑らせ階段を転げ落ちた――
落ちる瞬間、梶葉くんのことを思った。
梶葉くん……
梶葉くん……
梶葉――
