冷たい月と星天のクロノグラフ

ノックの音が聞こえて、目を開けるとタブレットを抱きしめていた。

ドアを開けると梶葉くんが立っている。

「保は帰ったから」

「そうなんだ。いつの間にか寝ちゃってたから気づかなかった」

檜垣さんは彼女と共通の友人で、梶葉くんが彼女の留守中に女(わたし)を家に連れ込んでないか心配して見に来たってところだよね。

「大丈夫だった?」

「何が? あいつが持って来たケーキがあるから食べなよ」

「わたしのもあるの?」

「冷蔵庫見たらわかるよ」


リビングにはまだ片付けられていないお皿やコーヒーカップがあって、男2人でケーキを食べた跡が残っていた。
それを片付けるのを手伝ってから冷蔵庫を開けると、小さめのホールケーキが3分の1ほど入っていた。

「チョコレートケーキ?」

「中にイチゴソーズが入ってる。店で出す新作の味見にいつもホールで持って来るんだ」

「美味しそう。これ……わたしが食べていいの?」

「俺はもう食べたから」

きっといつもは檜垣さんと梶葉くんと彼女の3人で食べてたんだね。