冷たい月と星天のクロノグラフ

さっきの子達の言ってることが本当だったら今は西暦2026年で、平成じゃなくて……レイワ8年?
ここは未来ということになる。
そんなバカな話、漫画やラノベの中のことで現実にあるわけがない。


でもでも、もし本当に今が2026年だとしたら……?

まさか。そんなことあり得ない。


肯定と否定を繰り返しながら途方にくれていると、さっきの男性が大きな袋を抱えて戻って来た。

「良かった。まだいた」

男性はわたしの前にしゃがむと、袋から箱を取り出して中から新品のスニーカーを出した。

「これ、サイズどう?」

「え? あ、はい」

「じゃあ、片方は自分で紐を通して」

男性は片方のシューズをわたしの膝の上に置くと、自分はわたしの前にしゃがんだままもう片方のシューズに紐を通し始めた。

「靴ないと困ると思って」

「でも……あの……わたし……お金持ってなくて……」

「プレゼント。君が天津さん……じゃなくて月埜さんにそっくりだから、これも何かの縁だと思って」

もしかして男性がいなくなったのは靴を買いに行くためで、最初から戻って来るつもりだった?

「その……月埜さんというひとは……あなたの……?」

男性は顔を上げると照れたように笑った。

「高校の頃、フラれたのに好きだった子。こっちは出来た。そっちは?」

「出来ました」

「履いてみて。制服にはローファーの方が合うと思ったんだけど、天津さんはローファーが苦手だったから、名前繋がりで勝手にスニーカーにした」

男性は、また「天津」と言った。