わたしの話を梶葉くんはずっと黙って聞いていた。
「バレンタインの日、木嶋さんに会ったけど、それは里穂さんに渡したハンカチを返してくれただけ。梶葉くんが見たのは多分、わたしが袋を渡したところじゃなくて、受け取ったところだと思う。里穂さんから、わたしとはもう会わないと言われてたから」
「……相談……して欲しかった……」
言えないよ。
義父がお母さんと再婚したの本当の目的はわたしだったなんて、言えるわけがない。
家族となったひとに変な目で見られてることを梶葉くんには知られたくなかった。
本当は隠してるだけで何かされてるんじゃないかと疑われたくなかった。
「木嶋さんと一緒にいるところを夏帆に見られてて、どういう関係なのか聞かれたけど、説明できなくて……」
最初に思い出したふわふの髪をした女の子は冨田夏帆。
わたしの、親友だった子。
夏帆に木嶋さんとのことを聞かれた時、木嶋さんには彼女がいることを伝えたのだけれど、それも誤解を加速させた。わたしが彼女のいるひとに言い寄っていると解釈したらしく、そのことも非難された。
「サイッテー」
仲が良かったはずの夏帆はそう言って、わたしを睨みつけた。
「胡桃は友達だから……だから友達には幸せでいて欲しいと思ってたから、あきらめようとしてたのに……」
「違う。木嶋さんとはそういうんじゃない」
「じゃあ何で最近は学校が終わると速攻帰るの? 今までそんなことなかったじゃん」
「それは……」
「ふざけないでよ! あんなたんか友達じゃない!」
愚かなわたしはその時初めて夏帆「教えて。あの頃……天津さんは俺のこと……」
