カチャという小さな音がして、誰かが部屋に入って来た。
フローリングの床をベッドに向かって静かに近づいてくると、そばに人の気配を感じる。
金縛りにあったみたいにからだは動かなくて、伸びてきた手がパジャマの上から太ももにふれ、それがじわじわと上へと這ってくるのを我慢する。
布団を首まですっぽりとかけて寝ておけば良かった。後悔しても今更遅い。
自分の身を守る手段に、そんなことくらいしか思い浮かばないことが悔しい。
この行為を終わらせる方法を知っているのに出来ないでいるのは、お母さんを悲しませたくないから。
パジャマの上衣に手がかかったところで、スマホにメッセージの着信を知らせる短い音が鳴って、一度動きが止まった。
寝返りをうつなり動くチャンスだったのにそれ逃した。
少しして再び止まっていた手がパジャマの上衣の下に滑り込み、直接肌にふれた瞬間、ぞわっと全身に鳥肌が立った。
ねっとりとした指の感触が気持ち悪い。
酒臭い息が顔にかかって、耐えられずに目を開けて相手の顔を見たら、マジックでぐちゃぐちゃに塗りつぶされた顔があった。
叫び声で飛び起きると、広いベッドの真ん中に座っていて、はぁはぁと肩で息をしていた。
手を見ると震えている。どくどくと心臓の音も早い。
この部屋にはドアに鍵がついている。
寝る前にその鍵を閉めて、ドアが開かないことを確認した。
鍵がなかったのは、自分の部屋。
――対象がちげーんだよ!――
金髪の男性がわたしに向かってそう言った理由は……どうしてわたしに声を荒らげたのか……思い出した。
わたしは援交なんてしていない。
自分で自分を抱きしめた時、トントンとノックの音がして、びくっとからだが跳ねる。
「天津さん?」
ドアの向こうから梶葉くんの声がした。
「大丈夫? 何かあったら言って」
その言葉を最後に声はなくなって、部屋に静けさが戻ってきた。
急いでドアの鍵を開け、廊下を見ると梶葉くんの背中が見えた。
「梶葉くんっ――」
わたしの声に振り向いた梶葉くんの顔を見て安堵した。
フローリングの床をベッドに向かって静かに近づいてくると、そばに人の気配を感じる。
金縛りにあったみたいにからだは動かなくて、伸びてきた手がパジャマの上から太ももにふれ、それがじわじわと上へと這ってくるのを我慢する。
布団を首まですっぽりとかけて寝ておけば良かった。後悔しても今更遅い。
自分の身を守る手段に、そんなことくらいしか思い浮かばないことが悔しい。
この行為を終わらせる方法を知っているのに出来ないでいるのは、お母さんを悲しませたくないから。
パジャマの上衣に手がかかったところで、スマホにメッセージの着信を知らせる短い音が鳴って、一度動きが止まった。
寝返りをうつなり動くチャンスだったのにそれ逃した。
少しして再び止まっていた手がパジャマの上衣の下に滑り込み、直接肌にふれた瞬間、ぞわっと全身に鳥肌が立った。
ねっとりとした指の感触が気持ち悪い。
酒臭い息が顔にかかって、耐えられずに目を開けて相手の顔を見たら、マジックでぐちゃぐちゃに塗りつぶされた顔があった。
叫び声で飛び起きると、広いベッドの真ん中に座っていて、はぁはぁと肩で息をしていた。
手を見ると震えている。どくどくと心臓の音も早い。
この部屋にはドアに鍵がついている。
寝る前にその鍵を閉めて、ドアが開かないことを確認した。
鍵がなかったのは、自分の部屋。
――対象がちげーんだよ!――
金髪の男性がわたしに向かってそう言った理由は……どうしてわたしに声を荒らげたのか……思い出した。
わたしは援交なんてしていない。
自分で自分を抱きしめた時、トントンとノックの音がして、びくっとからだが跳ねる。
「天津さん?」
ドアの向こうから梶葉くんの声がした。
「大丈夫? 何かあったら言って」
その言葉を最後に声はなくなって、部屋に静けさが戻ってきた。
急いでドアの鍵を開け、廊下を見ると梶葉くんの背中が見えた。
「梶葉くんっ――」
わたしの声に振り向いた梶葉くんの顔を見て安堵した。
