冷たい月と星天のクロノグラフ

――「宵の明星」とも呼ばれる金星が、淡い青色のプレアデス星団と大接近します。この天文現象はおおよそ8年に一度のめずらしい現象となり、日没から夜にかけて肉眼でも見ることが可能です――


ここ数日、この天文イベントがニュースを賑わしていた。


窓の外には三日月と満天の星。


そして今日がその金星とプレアデス星団が大接近する日。


地球から最も近い星でも4.2光年離れていると教えてくれたひとがいた。
その話を聞いた時は想像もつかない距離だと思ったけれど、わたしはこれからもっと遠くへ行こうとしている。


こんなの間違ってることくらいわかってるよ。

でも、これしか方法が思いつかなかったの。

お父さん、お母さん、天国で会えなくてごめんなさい。



最後に綺麗なものを目に焼き付けたくて

遠くに光る星だけを見つめて部屋の窓枠に足をかけた――