世の中のことなんて何も知らないくせに死にたがる馬鹿な子供のせいで、昔の夢を見た。
「ぼくが死んだらパパとママが悲しむ、なんて自信もって言える奴が自殺なんてすんな。バーカ」
軽くぼやいて、起き上がって歯を磨く。
昨夜は大変骨が折れる任務だった。終電を逃した後、ターゲットの家をじーちゃんの車で梯子して子供部屋に忍び込んで音もたてずに次々といじめっ子をさらった。中には子供部屋じゃなくて親と川の字で寝ているやつもいて、気づかれないようにさらうのは本当に大変だった。
身代金目的の犯行に見せかけるために、飛ばしの携帯からそれぞれの親に金を要求した。子供の遺体はそう簡単に調達できない。なので、警察を欺くためには大人の骨を加工する必要がある。その処理が終わるまでは、行方不明扱いのままだろう。
当然、子供たちは生きている。無事更生施設に送り込んだ。人を傷つけて何とも思わない彼らは生まれ変われるのだろうか。それは誰にも分らない。ただ、罪を心から悔い改めて優しい人間になれたその時は、別人として新しい人生を歩んでほしいと思う。
「おう、セイ。起きたか。飯できてるぞ」
「いただきまーす」
朝食を食べ始めると、頭を軽く小突かれた。
「殺し屋にふるまわれたもんを無警戒に食うな。ったく、何百回言えばわかるんだか」
子供の頃は言われなかったが、ある程度分別のつく年齢になってからはたびたび注意されている。
「じーちゃん以外から食いもんもらったりしないってば」
目玉焼きがのったトーストをほおばりながら答える。
「セイ、昨日はお疲れさん」
じーちゃんがねぎらってくれた。うん、昨日頑張ってよかった。頑張った自分に、牛乳で乾杯。
昨夜、去り際に晴翔と両親の会話を少しだけ盗み聞きした。晴翔はいじめのことを無事両親に相談でき、何でも相談できる関係性を築くことができたようだ。雨降って地固まるってやつだ。
自ら命を絶とうとするほど追い詰められた少年に過去の自分を重ねたのは事実だ。でも、彼があの電車に乗らずついてくるようなことがなくて本当に良かった。弟にしてやるなんて啖呵を切ったけれど、可愛がれる自信がない。それはたぶん、彼が優しい両親に育てられたことに対する嫉妬ではない。
じーちゃんをずっと独り占めしていたいという幼い独占欲だ。
「ぼくが死んだらパパとママが悲しむ、なんて自信もって言える奴が自殺なんてすんな。バーカ」
軽くぼやいて、起き上がって歯を磨く。
昨夜は大変骨が折れる任務だった。終電を逃した後、ターゲットの家をじーちゃんの車で梯子して子供部屋に忍び込んで音もたてずに次々といじめっ子をさらった。中には子供部屋じゃなくて親と川の字で寝ているやつもいて、気づかれないようにさらうのは本当に大変だった。
身代金目的の犯行に見せかけるために、飛ばしの携帯からそれぞれの親に金を要求した。子供の遺体はそう簡単に調達できない。なので、警察を欺くためには大人の骨を加工する必要がある。その処理が終わるまでは、行方不明扱いのままだろう。
当然、子供たちは生きている。無事更生施設に送り込んだ。人を傷つけて何とも思わない彼らは生まれ変われるのだろうか。それは誰にも分らない。ただ、罪を心から悔い改めて優しい人間になれたその時は、別人として新しい人生を歩んでほしいと思う。
「おう、セイ。起きたか。飯できてるぞ」
「いただきまーす」
朝食を食べ始めると、頭を軽く小突かれた。
「殺し屋にふるまわれたもんを無警戒に食うな。ったく、何百回言えばわかるんだか」
子供の頃は言われなかったが、ある程度分別のつく年齢になってからはたびたび注意されている。
「じーちゃん以外から食いもんもらったりしないってば」
目玉焼きがのったトーストをほおばりながら答える。
「セイ、昨日はお疲れさん」
じーちゃんがねぎらってくれた。うん、昨日頑張ってよかった。頑張った自分に、牛乳で乾杯。
昨夜、去り際に晴翔と両親の会話を少しだけ盗み聞きした。晴翔はいじめのことを無事両親に相談でき、何でも相談できる関係性を築くことができたようだ。雨降って地固まるってやつだ。
自ら命を絶とうとするほど追い詰められた少年に過去の自分を重ねたのは事実だ。でも、彼があの電車に乗らずついてくるようなことがなくて本当に良かった。弟にしてやるなんて啖呵を切ったけれど、可愛がれる自信がない。それはたぶん、彼が優しい両親に育てられたことに対する嫉妬ではない。
じーちゃんをずっと独り占めしていたいという幼い独占欲だ。



