通報系ぼっちが愛されるまで

 先輩と手を繋いで歩く廊下は初めて屋上に連れていかれた日を思い起こさせる。半ば引きずられるように歩いたあの日と今は、全然違う。二人で肩を並べて歩く姿は見慣れた光景となったのか、こちらから避けて歩かないと人にぶつかりそうになる。
 階段を上り『危険! 立ち入りを禁ず!』のドアの向こうに広がる青空へと歩を進めた。

「どこに埋めてあげますか?」
「寂しくないように、巣の近くがいいな。こことかどうかな」

 先輩が示したのは、先日苗を植えたローズマリーのプランター。

「すごく、良いと思う、す」

 ここならいずれ花が咲き、たくさんの姉妹が訪ねてきてくれるだろう。
 ローズマリーの根を傷めないよう、先輩がプランターの端を掘り返してくれている間、俺は動かなくなってしまった小さな体を両手でそっと包んで目を閉じる。

 見つけるのが遅くなってごめん。

 青空を請い願いながらガラスの壁に阻まれて力尽きたことを思うと、小さな体を無下に扱うことなんかできない。
 ふわりと俺の両手を包む優しい感触に目を開くと、至近距離でレンゲ先輩と目が合った。

「こんな小さな体で冒険に出たんだ。すごく頑張ったよね」
「はい、頑張り屋さん、す」

 生きて仲間の待つ家に帰らせてあげたかった。けど、彼女の死は、無駄にはならない。

 レンゲ先輩の前髪が俺の前髪を揺らし、互いの額がこと、と柔らかく触れた。

「「どうか、暖かい場所でゆっくりお休みください」」

 目を閉じて、示し合わせたわけでもないのに不思議と言葉が重なる。
 二人で彼女の幸せを願い、プランターの端にそっと埋葬した。
 様子を見に来た数匹のレディ達が俺達の周囲を旋回しては翔び立ってゆく。

「賑やかな葬送だね」

 先輩と俺は周囲で戯れる羽音を慈しむように笑い合う。

「これだけ賑やかなら寂しくない、す」

 新人のレディ達のオリエンテーションの時間。
 今日みたいなうららかな陽気には、きっと沢山の花が開いてレディ達を迎えてくれる。