凡才の俺と天性の将棋の天才の雨宮


 そして、その三日後、

 「ここが、安田君の家なんだね」

 家に雨宮がやってきた。
 経緯はいたって単純だった。というのも、俺の家に来たいと唐突に言い出したのだ。
 俺は俺で別に断る理由なんてものは無かった。それに、家で将棋を指したいと俺も思った。

 だから、俺は雨宮の言葉に、頷いて招き入れたのだ。

 「早速ゲームしよ」

 雨宮が言った。

 「は? 将棋すんじゃねえのか?」
 「それもいいけど、ゲームもしたい」

 そう、上機嫌に言い放つ雨宮。ゲームがしたいのか。
 勿論断る理由なんてない。
 それに、雨宮は俺と遊ぶのが好きと言っていた。

 だったら一緒にゲームしようか。

 そして、カーレース系統のゲームを一緒に楽しんだ。


 1時間近くゲームを続けた所で、

 「疲れたね」

 そう、雨宮が言い放つ。

 「そうだな」

 そして、俺はベッドの淵に座った。

 すると、

 「ずるい」


 そう言って雨宮も俺の隣に座った。

 しかも、ほとんどゼロ距離に。

 緊張する必要がない、と言う事は分かっているが、隣に座られると、どうしても緊張してしまう。


 「何だよ」


 「ねえ、ついでに僕の話を聞いてくれない?」
 「またかよ」

 前もはなしたはずだ。

 「大丈夫。その時とはまたちょっと違った話だから」

 っなんの話だよ。

 そう思いながら、雨宮の声を聴こうとする。すると、雨宮は俺に肩を寄せて来る。

 「なんだよ」
 「僕、安田君と……」

 その表情は少し恥ずかし気で、


 そして、

 「もう我慢できないや」

 そして、俺を抱きしめた。

 どう言う事だ?

 まじで意味が分からん。


 「ねえ、安田君は、僕のこと好き?」
 「はっ!?」
 「好き?」


 再度問われる。意味が分からなさすぎて怖すぎる。
 この場合どうしたらいいのだろうか。


 「僕は、常に安田君を求めてしまうんだ。これって変かな」
 「それって友達として、か?」
 「ううん。恋愛的な意味で」


 ますます意味が分からん。

 「何言ってんだよ。意味が分からないって」
 「そういう反応を受ける事は分かっていた」

 少し寂し気に、彼は言い放った。

 「だけど、これが僕の本心である事は覚えていて欲しい」

 その言葉に、

 「よしっ!!」

 俺は強く手を叩いた。

 「まずは整理をさせてくれないか」
 「いいよ」

 すんなりと、雨宮は頷き。

 「僕の体は、安田君を求めているんだ。僕は安田君と将棋を指していたいし、何でも一緒にやっていたい」

 意味が全く分からないってことはない。ただ、

 「俺はその言葉になんて返せばいいんだ?」

 そこが、分からない以上、どうすればいいのか分からない。


 「今は答えなくてもいいよ。ただ、将棋大会の日に答えを聞かせて欲しいな」

 そう言いながら。カバンに荷物を積める。


 「ごめん。もう帰るね」
 「あ、ああ」


 俺は出ていく雨宮をただ見送る事しかできなかった。