「しだせんせー!」
元気なその声に振り返る。教育実習が始まって今日で二週間が経つ。子供たちの有り余る元気さに振り回されながらも夢だった場所に少しずつ近付いていることを実感する。
「お疲れ様でした」
「志田先生。今日もお疲れ様でした」
明るい園の先生方に励まされながらもなんと一日を終える毎日。両親の姿を見てきていて覚悟はしていたが子供たちの無邪気さに全く追いつけない。帰ってからは今日の実習日誌とあと数週間経てば実習も終わるので園へのお礼状書きに……。最初の日誌も赤く書かれた修正だらけで自身もなくし不安でいっぱいだったが子供たちと接して、アドバイスを貰ったおかげか今は何とか修正も四、五個に収まっている。
「一日お疲れさま。温司くん」
「知隼もお疲れさま。迎えありがとう」
そして、なんとか気を保てているのは毎日迎えに来てくれる恋人のおかげでもある。知隼の顔を見るだけで一日の疲れの六割は忘れられる。
「いやー、やっぱり実感するね」
「何が?」
門の前で立ったまま知隼ら俺より少し高い目線から俺をゆっくりと見下ろす。
「先生になった、って」
「まだ実習生ですけど」
「細かいことはいいじゃん」
「全然細かくない」
俺が修正すると知隼は愉快に笑って、くるりと背を向ける。
その背中をひっそり睨む。
「先生なったね。温司くん」
そんな俺を再度振り返り見て目を細めて笑う知隼を軽いステップで追いかけた。並んで歩く俺の左手と、知隼の左手の薬指には少し色褪せたビーズリングが今も変わらず小さく光っていた。
元気なその声に振り返る。教育実習が始まって今日で二週間が経つ。子供たちの有り余る元気さに振り回されながらも夢だった場所に少しずつ近付いていることを実感する。
「お疲れ様でした」
「志田先生。今日もお疲れ様でした」
明るい園の先生方に励まされながらもなんと一日を終える毎日。両親の姿を見てきていて覚悟はしていたが子供たちの無邪気さに全く追いつけない。帰ってからは今日の実習日誌とあと数週間経てば実習も終わるので園へのお礼状書きに……。最初の日誌も赤く書かれた修正だらけで自身もなくし不安でいっぱいだったが子供たちと接して、アドバイスを貰ったおかげか今は何とか修正も四、五個に収まっている。
「一日お疲れさま。温司くん」
「知隼もお疲れさま。迎えありがとう」
そして、なんとか気を保てているのは毎日迎えに来てくれる恋人のおかげでもある。知隼の顔を見るだけで一日の疲れの六割は忘れられる。
「いやー、やっぱり実感するね」
「何が?」
門の前で立ったまま知隼ら俺より少し高い目線から俺をゆっくりと見下ろす。
「先生になった、って」
「まだ実習生ですけど」
「細かいことはいいじゃん」
「全然細かくない」
俺が修正すると知隼は愉快に笑って、くるりと背を向ける。
その背中をひっそり睨む。
「先生なったね。温司くん」
そんな俺を再度振り返り見て目を細めて笑う知隼を軽いステップで追いかけた。並んで歩く俺の左手と、知隼の左手の薬指には少し色褪せたビーズリングが今も変わらず小さく光っていた。
