大学への進学と同時に生活保護は廃止手続きが取られた。
大学生は原則として保護の対象外になるという国のルールの通り、自分の力だけで食っていかなければならない身になった。
叔父の負担をこれ以上増やさないためにも、俺は役所で廃止の書類にサインした。
そんなある春の、晴れた週末のことだった。
「お兄ちゃん、行きたい場所がある」
リハビリが進み、少しずつ自分の足で歩けるようになった詩織が靴紐を結びながら俺を見上げて言った。
詩織の口から告げられた住所を聞いた瞬間、鳥肌がたった。
そこは、俺が過去に一度だけ足を踏み入れた、和奏の家の住所だった。
「なんで……」
「最後にお礼を言いに行かなきゃ」
俺は何も言わず、バッグの中に近所で買ったケーキの箱と手荷物を詰め込んで、詩織を見送った。
――たどり着いたその場所は2階建ての一軒家だった。
だが、敷地の周りには解体工事請負契約と書かれた看板が掲げられ、すでに庭の木々は切り倒されていた。
来週には重機が入り、この家は跡形もなく消え去るのだという。
インターホンを緊張した様子で押した。
「あの、和奏さんいますか~?瑞稀の妹の詩織です」
大学生は原則として保護の対象外になるという国のルールの通り、自分の力だけで食っていかなければならない身になった。
叔父の負担をこれ以上増やさないためにも、俺は役所で廃止の書類にサインした。
そんなある春の、晴れた週末のことだった。
「お兄ちゃん、行きたい場所がある」
リハビリが進み、少しずつ自分の足で歩けるようになった詩織が靴紐を結びながら俺を見上げて言った。
詩織の口から告げられた住所を聞いた瞬間、鳥肌がたった。
そこは、俺が過去に一度だけ足を踏み入れた、和奏の家の住所だった。
「なんで……」
「最後にお礼を言いに行かなきゃ」
俺は何も言わず、バッグの中に近所で買ったケーキの箱と手荷物を詰め込んで、詩織を見送った。
――たどり着いたその場所は2階建ての一軒家だった。
だが、敷地の周りには解体工事請負契約と書かれた看板が掲げられ、すでに庭の木々は切り倒されていた。
来週には重機が入り、この家は跡形もなく消え去るのだという。
インターホンを緊張した様子で押した。
「あの、和奏さんいますか~?瑞稀の妹の詩織です」



