叔父は軽トラを止めると、後部座席から古いボストンバッグを引きずり出し、俺の膝の上に置いた。
チャックを開けると、そこにあったのは茶封筒に包まれた500万円程度の現金の札束だった。
「瑞稀。個人からの単純な現金の受け取りとなれば、ここから贈与税が差し引かれることになる。その税金の壁まで見越して少し多めに用意された抜かりない金額だ。……瑞稀、お前これに心当たりがあるのか?」
「和奏……」
気づけば俺はドアを開け、雪の残る空の下へと飛び出していた。
「おい、瑞稀どこへ行くんだ!」
俺はバッグを抱きしめ、マンションへ向かって引きずった。
階段を上がり、鍵の開いたドアを激しく押し開ける。
部屋の真ん中、いつものところにあいつは座っていた。
和奏は、俺の激しい息切れを聞くと、大きく振り返った。
その顔には笑顔が浮かんでいた。
「おかえり、橘くん。血相変えてどうしたの!怖い顔しちゃってさ」
「……お前、何をした」
俺は和奏の前に歩み寄り、バッグを床に叩きつけた。
「これ何の金だ。なんでお前が、あの事故の相手の……。俺にこんな現金を残せるんだよ。答えろ、和奏!」
和奏の笑顔がすっ、と消えた。
彼女はゆっくりと立ち上がり、俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「……お願い、大学に行って、橘くん」
和奏の声は、震えていた。
初めて見せる、切実な声だった。
「そのお金があれば、4年間まともに大学に通えるよ。橘くんには、バスケをもう一度してもらいたいの」
「ふざけるな!なんで他人の、それもお前みたいな出処の分からない金で、普通の青春に戻らなきゃいけないんだよ!俺は学校を辞めてやっていくって決めたんだ!」
「そんなことしなくていいんだよ!!」
和奏が初めて、俺に向かって声を荒らげた。
その拍子に、目から大粒の涙が畳の上に落ちていく。
「……説明する。説明するから、聞いて」
和奏は、制服の袖口で、めちゃくちゃに目の周りを擦り始めた。
だけど、溢れ出てくる涙は全然止まらない。
紺色の袖口が黒い跡で濡れていく。
チャックを開けると、そこにあったのは茶封筒に包まれた500万円程度の現金の札束だった。
「瑞稀。個人からの単純な現金の受け取りとなれば、ここから贈与税が差し引かれることになる。その税金の壁まで見越して少し多めに用意された抜かりない金額だ。……瑞稀、お前これに心当たりがあるのか?」
「和奏……」
気づけば俺はドアを開け、雪の残る空の下へと飛び出していた。
「おい、瑞稀どこへ行くんだ!」
俺はバッグを抱きしめ、マンションへ向かって引きずった。
階段を上がり、鍵の開いたドアを激しく押し開ける。
部屋の真ん中、いつものところにあいつは座っていた。
和奏は、俺の激しい息切れを聞くと、大きく振り返った。
その顔には笑顔が浮かんでいた。
「おかえり、橘くん。血相変えてどうしたの!怖い顔しちゃってさ」
「……お前、何をした」
俺は和奏の前に歩み寄り、バッグを床に叩きつけた。
「これ何の金だ。なんでお前が、あの事故の相手の……。俺にこんな現金を残せるんだよ。答えろ、和奏!」
和奏の笑顔がすっ、と消えた。
彼女はゆっくりと立ち上がり、俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「……お願い、大学に行って、橘くん」
和奏の声は、震えていた。
初めて見せる、切実な声だった。
「そのお金があれば、4年間まともに大学に通えるよ。橘くんには、バスケをもう一度してもらいたいの」
「ふざけるな!なんで他人の、それもお前みたいな出処の分からない金で、普通の青春に戻らなきゃいけないんだよ!俺は学校を辞めてやっていくって決めたんだ!」
「そんなことしなくていいんだよ!!」
和奏が初めて、俺に向かって声を荒らげた。
その拍子に、目から大粒の涙が畳の上に落ちていく。
「……説明する。説明するから、聞いて」
和奏は、制服の袖口で、めちゃくちゃに目の周りを擦り始めた。
だけど、溢れ出てくる涙は全然止まらない。
紺色の袖口が黒い跡で濡れていく。



