雨色な君の心に半透明な傘を翳すころ

――あれから、数ヶ月が経った。
季節は夏から秋を驚くほどの速さで飛び越え、すっかり身を切るような冬の寒さに包まれていた。

十二月。
学校の教室は、いつもとは違う異様な熱気に満ちていた。
周りのクラスメイトたちは、迫り来る共通テストや一般受験のプレッシャーに押し潰されそうになりながら、赤本を広げ、模試の結果に一喜一憂している。
机を並べて「一緒に合格しような」と励まし合う奴ら。
放課後になれば、予備校の自習室へ向かって一列になって歩いていく奴ら。
そこには、受験という名の、美しくいもう一つの青春の形があった。

だが、俺だけはその輪から完全に外れていた。
進路希望票の第一志望から第三志望の欄まで、俺はすべて白紙のままで提出した。
進路指導室で、担任から「本当にこれでいいのか。バスケの推薦だって、今からでも監督が頭を下げれば枠を確保できるかもしれないんだぞ」
と何度も詰め寄られたが、俺の意志は一ミリも動かなかった。
「いいんです。俺には、キャンパスなんて生ぬるい夢を見てる余裕はありません」
冷徹に言い放ち、俺は進路指導室を後にした。

大学へ行くための入学金、前期の学費、教科書代。
それを生活保護の世帯の中で捻出するだけでも不可能なのに、その上で詩織の手術費の分割分を毎月払い続けるなんて、どう計算したって生活が破綻する。

奨学金を借りて借金まみれの未来をスタートさせるくらいなら、今ここで泥水をすすりながら金を稼ぐ方が俺のプライドが許した。