しんと静まり返った。
「……は、っ、……あ、」
喉の奥から、まともな形を成さない呼吸が漏れた。
後輩が去ったというのに、俺の身体の硬直は解けない。
むしろ肌に直接触れたあの生温かい狂気の感触が、脳内で何度も何度もフラッシュバックして、全身がガタガタと目に見えて震え始めていた。
足の筋力が完全に死んでいた。
崩れ落ちそうになる俺の身体を、「ちょっと、橘くん。しっかりして」横から滑り込んできた小さな身体が、がっしりと受け止めた。
和奏だった。
「……冷た、い」
俺の口から、掠れた声が出た。
俺を支える和奏の肌は、やっぱり万年氷のように冷え切っている。
和奏は何も言わなかった。
いつもなら「ちょっと何やってるのあの子!ストーキングなら私の専売特許なのに!」とか何とか、騒がしく捲し立てるはずの彼女が、今夜はひどく静かだった。
ただ、今にも消えてしまいそうなほどに悲痛な瞳で、俺の震える顔を見つめている。
「……部屋、行こ。ね?」
和奏の声に、俺は小さく頷くことしかできなかった。
和奏は俺の腕を自分の肩に回し、ほとんど体重を預ける形になった俺を、一歩一歩、支えながらマンションの階段を上っていく。
自分の部屋のドアを開け、玄関に転がり込むようにして入った瞬間俺はそのまま玄関の床にへたり込んでしまった。
暗闇の中、和奏が静かに電気を点ける。
パッと広がった蛍光灯の光の下で、俺は自分の膝を抱えていた。
俺の心をズタズタに切り裂いていた。
そんな俺の前に、和奏が膝をついた。
彼女は自分の上着を脱ぐと、それを俺の頭からすっぽりと被せる。
「……は、っ、……あ、」
喉の奥から、まともな形を成さない呼吸が漏れた。
後輩が去ったというのに、俺の身体の硬直は解けない。
むしろ肌に直接触れたあの生温かい狂気の感触が、脳内で何度も何度もフラッシュバックして、全身がガタガタと目に見えて震え始めていた。
足の筋力が完全に死んでいた。
崩れ落ちそうになる俺の身体を、「ちょっと、橘くん。しっかりして」横から滑り込んできた小さな身体が、がっしりと受け止めた。
和奏だった。
「……冷た、い」
俺の口から、掠れた声が出た。
俺を支える和奏の肌は、やっぱり万年氷のように冷え切っている。
和奏は何も言わなかった。
いつもなら「ちょっと何やってるのあの子!ストーキングなら私の専売特許なのに!」とか何とか、騒がしく捲し立てるはずの彼女が、今夜はひどく静かだった。
ただ、今にも消えてしまいそうなほどに悲痛な瞳で、俺の震える顔を見つめている。
「……部屋、行こ。ね?」
和奏の声に、俺は小さく頷くことしかできなかった。
和奏は俺の腕を自分の肩に回し、ほとんど体重を預ける形になった俺を、一歩一歩、支えながらマンションの階段を上っていく。
自分の部屋のドアを開け、玄関に転がり込むようにして入った瞬間俺はそのまま玄関の床にへたり込んでしまった。
暗闇の中、和奏が静かに電気を点ける。
パッと広がった蛍光灯の光の下で、俺は自分の膝を抱えていた。
俺の心をズタズタに切り裂いていた。
そんな俺の前に、和奏が膝をついた。
彼女は自分の上着を脱ぐと、それを俺の頭からすっぽりと被せる。



