夕刻になり、面会時間が終わると、病室には俺と詩織の2人だけになった。
「……詩織まじですまない。もう、遅いよな。謝ったって、届かないよな。俺、最低の兄貴だろ。生まれてこなきゃよかったのは、詩織じゃなくて、俺の方だったみたいだな」
俺は壊れたかように思い出や後悔を語り続けていた。
小学生の頃、俺が試合でシュートを決めて、飛び跳ねて喜んでくれたこと。
中学生の時、くだらないことで喧嘩してお前を泣かせてしまって後悔したこと。
小さいころ2人でこっそりお小遣いを出し合って、近くの公園までアイスを買いに出掛けたこと。
両親がまだ生きていて、4人でくだらない冗談を言いながら笑い合ったあの家族旅行の記憶。
あの日、俺のバスケの遠征さえなければ。
俺がバスケなんていうスポーツを傲慢に続けていなかったら、両親はあの交差点に居合わせることもなく、事故に遭わなかったかもしれない。
俺がもっと妹の孤独に寄り添える、優しい兄だったら、詩織をここまで追い詰めることもなかった。
全部俺が原因だ。
俺がすべてを破滅させたんだ。
夜になり、一時帰宅した俺は主のいなくなった一軒家にいた。
電気をつける気にもならず、浴槽に溜めたお湯に1人で沈んでいた。
首まで湯船に浸かり、顔を半分ほど水面に沈めながら暗い天井を見つめる。
耳まで水に浸かると自分の心臓の音が響いてきた。
ああ、今まではいつも近くに詩織がいて。
俺の視界を遮るように立ち塞がっては、嫉妬や執着を向けてきて。
それがたまらなく鬱陶しかったけれど。
皮肉なことに1人きりになって初めて気づいた。
あれらは詩織が俺を必要としてくれていた証拠だった。
妹がいてくれたから、俺は強くなろうと思えた。
妹がいないこの家は、まるでただの空箱だ。
妹がいないと、俺は自分の存在理由さえ見つけられないんだって、今更になって気づかされる。
失ってから気づいたって、もう何もかもが遅すぎるのに。
「詩織……」
浴槽の水面に、俺の目から溢れた涙がぽつぽつと落ちて波紋を広げていく。
「……詩織まじですまない。もう、遅いよな。謝ったって、届かないよな。俺、最低の兄貴だろ。生まれてこなきゃよかったのは、詩織じゃなくて、俺の方だったみたいだな」
俺は壊れたかように思い出や後悔を語り続けていた。
小学生の頃、俺が試合でシュートを決めて、飛び跳ねて喜んでくれたこと。
中学生の時、くだらないことで喧嘩してお前を泣かせてしまって後悔したこと。
小さいころ2人でこっそりお小遣いを出し合って、近くの公園までアイスを買いに出掛けたこと。
両親がまだ生きていて、4人でくだらない冗談を言いながら笑い合ったあの家族旅行の記憶。
あの日、俺のバスケの遠征さえなければ。
俺がバスケなんていうスポーツを傲慢に続けていなかったら、両親はあの交差点に居合わせることもなく、事故に遭わなかったかもしれない。
俺がもっと妹の孤独に寄り添える、優しい兄だったら、詩織をここまで追い詰めることもなかった。
全部俺が原因だ。
俺がすべてを破滅させたんだ。
夜になり、一時帰宅した俺は主のいなくなった一軒家にいた。
電気をつける気にもならず、浴槽に溜めたお湯に1人で沈んでいた。
首まで湯船に浸かり、顔を半分ほど水面に沈めながら暗い天井を見つめる。
耳まで水に浸かると自分の心臓の音が響いてきた。
ああ、今まではいつも近くに詩織がいて。
俺の視界を遮るように立ち塞がっては、嫉妬や執着を向けてきて。
それがたまらなく鬱陶しかったけれど。
皮肉なことに1人きりになって初めて気づいた。
あれらは詩織が俺を必要としてくれていた証拠だった。
妹がいてくれたから、俺は強くなろうと思えた。
妹がいないこの家は、まるでただの空箱だ。
妹がいないと、俺は自分の存在理由さえ見つけられないんだって、今更になって気づかされる。
失ってから気づいたって、もう何もかもが遅すぎるのに。
「詩織……」
浴槽の水面に、俺の目から溢れた涙がぽつぽつと落ちて波紋を広げていく。



