翌日の昼休み。俺はいつもの校舎裏の古い木造ベンチへと足を運んだ。
蝉の声がワンワンと響く中、すでにベンチに腰掛けて、小さな足をパタパタと揺らしているお馴染みの後ろ姿があった。
「あ、橘くん!遅い遅い!今日のメインはね、なんとエビフライだよー!」
振り返った和奏は、いつも通りの満面の笑みで、箱を掲げてみせた。
俺はその隣にゆっくりと腰を下ろす。
「和奏。昨日の夜、ジムの責任者の人に、バイト辞めるって伝えてきた」
「あ、そっかぁ。やっぱり言っちゃった?」
和奏は箸を持ったまま、特に驚く様子もなくへにゃりと眉を下げて笑った。
「……怒らないんだな。せっかく割のいいバイト紹介してくれたのに」
「怒るわけないじゃん。それにさ……私、ジムの人に最初から頼んで。橘くんがギブアップしたら、引き止めずにすぐ辞めさせてあげてねって」
和奏は箱からエビフライを一つ摘むと、俺の口元に突きつけてきた。
「ほら、お疲れ様のあーん。これからは夜、ちゃんと寝るんだよ。お金を貯めるのは大事だけど、橘くんが倒れたら、詩織ちゃんが目覚めたときに怒られちゃうからね」
「……お前、本当にどこまでお節介なんだよ」
俺は呆れながらも、差し出されたエビフライを口にくわえた。
サクサクとした衣の奥から、エビの旨味が広がる。
本当に、こいつの作る飯は美味い。
「お節介じゃないよー、愛だよ愛!あ、もしかしてバイト辞めて寂しくなっちゃった?夜寂しくなったら、いつでも私にメッセージしていいからね?起きてる限り、五秒で返信するから!」
「しない。うるさそうだからな」
「そこはありがとなって言うところでしょ。拓海くんたちには素直に言えるのにって!」
和奏はぷくっと頬を膨らませて、俺の肩をぽかぽかと叩いてきた。
いつも通りの、騒がしくて、騒々しいやり取り。
和奏は本当に嬉しそうに、ひまわりが咲いたような笑顔で笑った。
頭上の灰色の雲は相変わらずそこにあるけれど、俺たちの間を吹き抜ける夏の風は、心地よくてとても温かかった。
蝉の声がワンワンと響く中、すでにベンチに腰掛けて、小さな足をパタパタと揺らしているお馴染みの後ろ姿があった。
「あ、橘くん!遅い遅い!今日のメインはね、なんとエビフライだよー!」
振り返った和奏は、いつも通りの満面の笑みで、箱を掲げてみせた。
俺はその隣にゆっくりと腰を下ろす。
「和奏。昨日の夜、ジムの責任者の人に、バイト辞めるって伝えてきた」
「あ、そっかぁ。やっぱり言っちゃった?」
和奏は箸を持ったまま、特に驚く様子もなくへにゃりと眉を下げて笑った。
「……怒らないんだな。せっかく割のいいバイト紹介してくれたのに」
「怒るわけないじゃん。それにさ……私、ジムの人に最初から頼んで。橘くんがギブアップしたら、引き止めずにすぐ辞めさせてあげてねって」
和奏は箱からエビフライを一つ摘むと、俺の口元に突きつけてきた。
「ほら、お疲れ様のあーん。これからは夜、ちゃんと寝るんだよ。お金を貯めるのは大事だけど、橘くんが倒れたら、詩織ちゃんが目覚めたときに怒られちゃうからね」
「……お前、本当にどこまでお節介なんだよ」
俺は呆れながらも、差し出されたエビフライを口にくわえた。
サクサクとした衣の奥から、エビの旨味が広がる。
本当に、こいつの作る飯は美味い。
「お節介じゃないよー、愛だよ愛!あ、もしかしてバイト辞めて寂しくなっちゃった?夜寂しくなったら、いつでも私にメッセージしていいからね?起きてる限り、五秒で返信するから!」
「しない。うるさそうだからな」
「そこはありがとなって言うところでしょ。拓海くんたちには素直に言えるのにって!」
和奏はぷくっと頬を膨らませて、俺の肩をぽかぽかと叩いてきた。
いつも通りの、騒がしくて、騒々しいやり取り。
和奏は本当に嬉しそうに、ひまわりが咲いたような笑顔で笑った。
頭上の灰色の雲は相変わらずそこにあるけれど、俺たちの間を吹き抜ける夏の風は、心地よくてとても温かかった。



