「……なんで、俺がこんなところに」
日曜日。
真夏の太陽がこれでもかと街をジリジリと焼き尽くす午後。
俺は、都会の一等地にある巨大な駅ビルの一角で小さく溜息をついた。
深夜のフィットネスジムでのバイトを始めてから、早二週間。
昼夜逆転の生活と、削りに削った食生活のせいで、俺の身体は相変わらずボロボロのはずだった。
それなのに、あの廊下での食べ物・箱襲撃事件以来、和奏は毎日のように俺の前に現れては、無理やり飯を食わせ、俺の生活のリズムを強引に狂わせていった。
そして今日、バイト明けで泥のように眠っていた俺の部屋のドアをカチャリと開け、和奏はこう言い放ったのだ。
「橘くん、今日はお出かけするよ!貯金マシーンにも、たまにはオイルを差してあげなきゃ錆びるし!」
そうして連れてこられたのは、若者や家族連れでごった返す、活気あふれる商業施設のフロアだった。
隣を歩く和奏は、白いサマーニットに薄いピンクのロングスカートという、いかにも夏のお出かけといった装いで、あちこちのショップのウィンドウを覗き込んでは「わあ、あれ可愛い!」と一人で大はしゃぎしている。
「おい、和奏。俺はこんな都会になんか来たくなかった。お前がいいバイトの書類の受け取りがあるからついてきてって言うから来ただけだ」
俺は周囲のリア充たちの眩しさに耐えかねて、猫背のまま不機嫌に呟いた。
「え?書類?ああ、そんなのもあったっけ?」
和奏は人混みの中でピョコピョコと跳ねるように振り返るとベロを出した。
「嘘だよーん。橘くん、普通の高校生らしいことしなきゃダメ!はい、文句言わない!」
「騙したのかよ。帰る」
「あ、待って待って!帰ったら、明日からのお惣菜、全部激辛ハバネロ仕様にするからね!」
「……お前、人間の心失ってんのか?」
「橘くん限定で、ちょっとだけね!」
クスッと笑う彼女のペースに、俺は結局、今日も勝てなかった。
日曜日。
真夏の太陽がこれでもかと街をジリジリと焼き尽くす午後。
俺は、都会の一等地にある巨大な駅ビルの一角で小さく溜息をついた。
深夜のフィットネスジムでのバイトを始めてから、早二週間。
昼夜逆転の生活と、削りに削った食生活のせいで、俺の身体は相変わらずボロボロのはずだった。
それなのに、あの廊下での食べ物・箱襲撃事件以来、和奏は毎日のように俺の前に現れては、無理やり飯を食わせ、俺の生活のリズムを強引に狂わせていった。
そして今日、バイト明けで泥のように眠っていた俺の部屋のドアをカチャリと開け、和奏はこう言い放ったのだ。
「橘くん、今日はお出かけするよ!貯金マシーンにも、たまにはオイルを差してあげなきゃ錆びるし!」
そうして連れてこられたのは、若者や家族連れでごった返す、活気あふれる商業施設のフロアだった。
隣を歩く和奏は、白いサマーニットに薄いピンクのロングスカートという、いかにも夏のお出かけといった装いで、あちこちのショップのウィンドウを覗き込んでは「わあ、あれ可愛い!」と一人で大はしゃぎしている。
「おい、和奏。俺はこんな都会になんか来たくなかった。お前がいいバイトの書類の受け取りがあるからついてきてって言うから来ただけだ」
俺は周囲のリア充たちの眩しさに耐えかねて、猫背のまま不機嫌に呟いた。
「え?書類?ああ、そんなのもあったっけ?」
和奏は人混みの中でピョコピョコと跳ねるように振り返るとベロを出した。
「嘘だよーん。橘くん、普通の高校生らしいことしなきゃダメ!はい、文句言わない!」
「騙したのかよ。帰る」
「あ、待って待って!帰ったら、明日からのお惣菜、全部激辛ハバネロ仕様にするからね!」
「……お前、人間の心失ってんのか?」
「橘くん限定で、ちょっとだけね!」
クスッと笑う彼女のペースに、俺は結局、今日も勝てなかった。



