1ミニッツ短編集ボックス

私の名前はリオラ。
生まれた理由はとてもシンプルで、「いま流行りのソシャゲのキャラクター」として作られただけだ。

強さは——微妙。
いわゆる“玄人向け”。
初心者からは操作しづらいと嫌われ、ガチ勢からも編成されにくい、そんな位置づけ。

仕方がない。
私はストーリーで主人公に「魔法の杖」を渡す役目がある。
それに、まだ未公開だけど——ヒロインの幼なじみで、ひょんなことから悪に堕ちるという重要ポジションらしい。

「……だから好き嫌いが激しいんですよね、私のキャラは」

強くもないけど、弱くもない。
それでもガチャの排出率も、必要な金額も、人気キャラと同じ。
そこだけは妙に平等だ。

そんなとき。

「またその話してるの?」

声をかけてきたのは、人気第2位キャラ・レトリア。
絵も性能も段違いで、初心者から攻略勢まで全員が欲しがる看板キャラだ。
リセマラ推奨の“当たり枠”。

「同じ金額で性能差あるってさ……どう思う?」

私はふっと笑い、レトリアを見上げた。

「別に気にしてませんよ。不公平だなんて、思ったことないです」

そう言いつつ、ネットでは今日も「リオラが出た」という悲鳴が飛び交っている。
——ガチャチケットを無駄にした、と。

レトリアは心配そうに眉を寄せる。

「……本当に気にしてないの?」

「ええ。だって知ってるんですよ。
人って、“平等”なんて作れない生き物だって」

この瞬間も、どこかで誰かが不平等の中で潰されている。
ゲームの世界だって、結局は同じ。

私は静かに笑った。

ガチャから生まれた私は、今日も誰かの指先にゆだねられた人生を、ただ受け取るだけだ。