1ミニッツ短編集ボックス

 僕の学校には、生徒会が設置した「お気持ち箱」というものがある。
学校生活でも個人的な悩みでも、困っていることを書いて投函してほしい――
そんな建前でスタートした取り組みだ。

 ただ、先生たちはなぜか微妙な顔をしていた。
理由はよくわからない。

 水曜と金曜になると、生徒会の人たちが校門前で

「ご意見くださーい!」

と声を張り上げ、お気持ち箱を抱えて立つ。
しかし結果は毎回ゼロ枚。
箱はいつも空っぽのままだった。

 それが面白くなかったのか、生徒会長は権限を使って全校集会を開くことにした。
壇上に立った彼女は、自分がどんな気持ちでいるのか、何に悩んでいるのか――
延々と語り続けた。

「私みたいな人間でも、こんなに悩みがあるんです!
 みなさんにも、ありますよね?」

 集会は妙な空気のまま終了した。

 そして次の日。
お気持ち箱はあふれ返り、箱のふたが閉まらないほどの“お気持ち表明書”でいっぱいになっていた。

 庶務の僕はその箱を生徒会室まで運び、錠前を外して中身を確認する。
正直、内容は想像できていた。
「生徒会長をやめさせろ!」
そんな手紙がぎっしりだと思っていた。

 ところが、一枚目を開いた瞬間、僕は予想を裏切られた。

「自己中心的でいい感じに滑稽な生徒会長さんの演説、
 動画サイトに投稿して小遣い稼ぎしてもいいですか?」

 思わず、笑ってしまった。