自殺を阻止された俺は、小説を書く楽しみを覚える。



 「楽しかった」

 俺は家のベッドに寝ころびながら呟いた。
 二つ目の小説もそこまで質のいい物は駆けなかったと思う。だけおd、その代わり彼から数冊の本を受け取った。練習用で沖にイルの小説を借りさせてもらえたのだ。

 彼が感動した、と言っていた小説。読んでみるとそこまでだった。
 まだ序盤しか読んでいない。だけど、彼自身の小説の方が確実に面白かったのだ。

 とはいえこれも国語の教科書に出ているÝ創設よりも面白い事には間違いない。
 教科書の小説なんて言う物は、名作ぞろいなはずだが、俺的にはそこまでなのだ。

 彼の小説が読みたい、と早速思った。
 それと同時に、俺の感情をもっと詳しく小説に描きたいとも、思った。
 なんだが、そんな事を考えると、死にたいという感情は段々と治まっていく様子が見えて行った。

 そして、その日は早めに寝る事にした。翌日どんな楽しい日になるのかを楽しみにして。
 翌日の学校では休み時間にとにかく小説を読んでいった。理由としては単純だ。もっとより良い小説を書くために練習う、いや学びを深めたいのだ。
 おかしな話だ。まさかあそこまでドはまりしてしまうとは。

 それ怒れも彼の小説のファンになったからだ。

 「お、読んでるな」

 昼休みに彼が俺の席に来た。

 「ああ、まあな」
 「120ページか。早く読み終わってくれ。ネタバレ言いたいからよ」
 「すまないけど、そこまで早くは読み進められねえ」
 「その心は?」
 「これよりもお前の小説の方が好きだから」


 俺が言うと、彼はすぐに、

 「ふはは」

 と、戦が抜けたかのように笑い出した。


 「すまない。そんなに俺の小説を気に入ったんだな、って思ってな」
 「ああ、気に入ってる。今の俺はお前の……ファンなんだと思う」
 「ファン。そうか、ファン。そこまで言ってくれるか」

 上機嫌だ。

 「感謝するぜ」

 そして歯をむき出しに笑って見せた。


 「でもな」続ける。

 「それで言えば俺はお前の小説のファンだぜ」
 「あんなくそみたいな内容なのに?」
 「くそだと決めるのは周囲の人間だ。サンプルゼロだが、俺が面白いと言うんだったら、それはもう面白いと言っても過言じゃねえ」
 「過言だろ」
 「なら、後で証拠を見せてやる」

 そう言って彼は笑った。

 その後、放課後、俺は彼の部室に来た。

 「そう言えば、部員はいないの?」

 昨日は二人切り、今日は一人きり。

 見知らぬ人に出会ったことはない。

 「いんや、正確にはもう二人いる。だけど、来たい時に来て来たくないときは休む気分屋のようなやつらだ。まあ、部員数の確保という意味で言えば助かってるけどな」
 「そうなんだ」

 そう言えばうちの学校では部員数は三人以上という条件がある。
 活動実績が少ないという面では寂しいだろうけれど、
 部活がなくなるという事は無いのだろう。

 「じゃあ、早速書いてもらうが、その前に見て欲しいもんがある」
 「なに?」
 「これだ」

 スマホを見せられる。それは所謂WEB上のサイトらしかった。

 俺はそれを見て、「あれ」と行った。
 そのサイトに乗せられている小説には、PVつまりPage Viewが極端に少ない。もはやほとんどゼロに等しかった。

 「これって」
 「俺の小説だ」
 「え、いやでも」

 総合的な閲覧数が100も言っていない。それって、ほとんど読まれていないってことじゃないのか?
 俺はたまにYOUTUBE動画を見る。

 そこでは、基本的に皆1万回以上みられている。
 小説でもそれと同じなのかは分からないが、それにしても、100も行っていないという事はそれ細酷いという事になってしまうだろうか。

 俺は絶句した。あんなに面白い物が、そんなに鹿読まれていないだと。

 「そんな反応をしてくれるだけで、俺からしたら嬉しいぜ。だけど、これが現実なんだだ。俺の作風は大多数の人間からは支持されていないんだ」
 「そんなの間違ってる!!」

 俺は大きな声を出し、その彼の言葉に対して、抗議の意を示した。

 こんだけしか読まれていないのは、どう考えても何かの間違いだ。

 間違いじゃなければいけないんだ。



 「なあ、一つ言いたいことがある」
 「何だよ」
 「昨日俺は嬉しかったんだぜ。お前の言葉を聞いて、な」

 そして、にやりと笑って見せた。

 「だから、お前の物語を読ませてほしい」
 「分かってる。その代わりに君の小説も」
 「ああ、いつでも読め。WEB上に掲載されているからな」

 その言葉に、俺は再び頷いて見せるのだった。



 そして、その日も小説をただただ書いていく。

 俺たちは互いに一瞥することもなく小説を書いていく。その時間は個人的に愛おしい物だった。



 その帰り道はただただ二人で、小説の話をした。

 その瞬間、俺は感じるのだ。俺にはこういった友が欲しかったんだと。
 こころの隙間を埋めてくれるこんな奴が欲しかったんだ。

 俺は今小説を書いていて楽しいと思う。
 だけど、同様に感じる事もある。

 きっと、この人と一緒じゃなければ、俺は楽しく小説という物をかけていなかっただろう。
 だからこそ、今俺は歓びを感じているんだ。

 「なあ、聞いてるか」
 「え?」
 「上の空になりやがって」

 ため息をつかれる。
 そうだった。思索に励み過ぎてすっかりと忘れてしまっていた。

 「なに?」
 「土曜、一緒に水族館行くぞ」
 「はあ????」

 その発言に正直驚いてしまったのは言うまでもないだろう。