翌日から部活終わり、高森が一緒に帰ろうと言ってくるようになった。
俺はまあ帰るくらいなら、なんて言い訳をして高森と帰る。
別れ際、高森はお決まりのように俺に好きと言ってきた。
「そんなに好きを安売りするなよ」
「安売りしてないです。全部本気です。ついでにぎゅっとしてもいいですよ?」
「そんなサービスいらないから」
俺は何とか高森を拒んで、家に帰る。
なぜか前よりも高森の好きという言葉がすっと胸に入ってくるようになった。
おかげで気を抜くと、まともにどきどきしそうになる。
だめだ。
しっかりしろ、と言い聞かせているうちに十月に入り、中間テストの期間になる。
部活はなくなり、高森から少し離れることができた。帰りも会わない。
(部活がない時は接触してこないんだな)
気がつけばそんなことまで気にするようになった。
気を紛らわすために俺はいつもよりテスト勉強を頑張った。
そうして、あっという間に高校は文化祭の準備期間に入った。準備期間は一週間。俺のクラス、二年二組は焼きそばの屋台をやるので看板作りなんかをすることになった。
放課後。教室に残った俺はひたすら同じクラスで友達の西脇と雑用をこなした。
「俺ら一番忙しい時間に店番になっちゃったな」
準備を終えた帰り道。
俺の隣を歩く西脇が眼鏡を直しながらぼやく。
西脇は中学からの友達で、中学時代、俺を吹奏楽部に誘った奴だ。
しかし、高校では勉強に打ち込むと言って、放課後はいつも図書館通いをし始めた。
俺も部活があるし、帰りの時間が合うことは滅多になく、一緒に帰るのは久々だ。
「しょうがないじゃん。俺も一緒だし頑張ろ」
「そうだな。宮野は今年は文化祭、誰かと約束とかしてんのか」
「してないけど」
「なら店番の前になんか食いに行こうぜ。俺、絶対キッチンカーのいちご飴食いたい」
「意外とかわいいもん好きだな」
笑いながら、つい高森の顔が浮かぶ。
文化祭といえばの好きな相手と距離を縮めるのに最適なイベントだ。
俺だって去年は元カノを誘った。
てっきり高森はしつこく言ってくるだろうと身構えていた。
けど、何も言ってこない。
いや、そもそも俺はなんで誘われると思ってたんだ。
最近、俺はどうかしている。
クラリネットの例のカバーも、高森とお揃いで、緑に赤の水玉模様のまま変えてない。
どうせ高森の気持ちは変えられないし、変な意地を張っても意味がないと思ったから。
って、本気でそう思ってるんだろうか。
本当は俺は高森のことを、とそこまで考えて、いや違うと否定する。
どうせしばらく部活もないし、高森のことは一旦忘れよう。
西脇としばらく一緒に話し、途中で別れた。
一人になってからスマホの通知に気付いて、画面を開く。
高森からメッセージが届いていた。
『先輩もう家帰りましたか? 文化祭がんばりましょうね。あと好きです』
危うく俺は躓きそうになった。
顔が見えなくても、高森の顔が浮かんで、スマホを手に立ち止まってしまう。
ああもう。
どうすればいいんだろう。
どうしたらあきらめてくれるんだろう。
俺はいっそ無視しようかと思ったけど、家に帰ってから当たり障りのないメッセージを返した。
『帰ったよ。高森こそ頑張れ』
高森からは『おやすみなさい』と返ってきて、俺も『おやすみ』と返す。
たったそれだけなのに、なぜか胸がくすぐったくなった。
俺はまあ帰るくらいなら、なんて言い訳をして高森と帰る。
別れ際、高森はお決まりのように俺に好きと言ってきた。
「そんなに好きを安売りするなよ」
「安売りしてないです。全部本気です。ついでにぎゅっとしてもいいですよ?」
「そんなサービスいらないから」
俺は何とか高森を拒んで、家に帰る。
なぜか前よりも高森の好きという言葉がすっと胸に入ってくるようになった。
おかげで気を抜くと、まともにどきどきしそうになる。
だめだ。
しっかりしろ、と言い聞かせているうちに十月に入り、中間テストの期間になる。
部活はなくなり、高森から少し離れることができた。帰りも会わない。
(部活がない時は接触してこないんだな)
気がつけばそんなことまで気にするようになった。
気を紛らわすために俺はいつもよりテスト勉強を頑張った。
そうして、あっという間に高校は文化祭の準備期間に入った。準備期間は一週間。俺のクラス、二年二組は焼きそばの屋台をやるので看板作りなんかをすることになった。
放課後。教室に残った俺はひたすら同じクラスで友達の西脇と雑用をこなした。
「俺ら一番忙しい時間に店番になっちゃったな」
準備を終えた帰り道。
俺の隣を歩く西脇が眼鏡を直しながらぼやく。
西脇は中学からの友達で、中学時代、俺を吹奏楽部に誘った奴だ。
しかし、高校では勉強に打ち込むと言って、放課後はいつも図書館通いをし始めた。
俺も部活があるし、帰りの時間が合うことは滅多になく、一緒に帰るのは久々だ。
「しょうがないじゃん。俺も一緒だし頑張ろ」
「そうだな。宮野は今年は文化祭、誰かと約束とかしてんのか」
「してないけど」
「なら店番の前になんか食いに行こうぜ。俺、絶対キッチンカーのいちご飴食いたい」
「意外とかわいいもん好きだな」
笑いながら、つい高森の顔が浮かぶ。
文化祭といえばの好きな相手と距離を縮めるのに最適なイベントだ。
俺だって去年は元カノを誘った。
てっきり高森はしつこく言ってくるだろうと身構えていた。
けど、何も言ってこない。
いや、そもそも俺はなんで誘われると思ってたんだ。
最近、俺はどうかしている。
クラリネットの例のカバーも、高森とお揃いで、緑に赤の水玉模様のまま変えてない。
どうせ高森の気持ちは変えられないし、変な意地を張っても意味がないと思ったから。
って、本気でそう思ってるんだろうか。
本当は俺は高森のことを、とそこまで考えて、いや違うと否定する。
どうせしばらく部活もないし、高森のことは一旦忘れよう。
西脇としばらく一緒に話し、途中で別れた。
一人になってからスマホの通知に気付いて、画面を開く。
高森からメッセージが届いていた。
『先輩もう家帰りましたか? 文化祭がんばりましょうね。あと好きです』
危うく俺は躓きそうになった。
顔が見えなくても、高森の顔が浮かんで、スマホを手に立ち止まってしまう。
ああもう。
どうすればいいんだろう。
どうしたらあきらめてくれるんだろう。
俺はいっそ無視しようかと思ったけど、家に帰ってから当たり障りのないメッセージを返した。
『帰ったよ。高森こそ頑張れ』
高森からは『おやすみなさい』と返ってきて、俺も『おやすみ』と返す。
たったそれだけなのに、なぜか胸がくすぐったくなった。

