吹奏楽部の後輩が俺をあきらめてくれません

 そこから文化祭の前日まで高森からのメッセージは続いた。
 短いメッセージのあとには好きですと必ず書いてある。
 こうも何回も言われたら薄れてしまいそうなのに、全部本気で言っているのだと思ったら、どんどん俺の中で濃くなっていく。
 無視など到底できなくて、俺は頭を悩ませながら返信を続けた。
 文化祭の前日。放課後、俺は音楽室に向かった。
 明日、ステージで演奏する曲の最後の練習があるからだ。
 俺が音楽室に入った時にはほとんどの部員が集まっていた。
 楽器と譜面台、楽譜の入ったファイルを取りに音楽準備室に入ると、高森がいた。
「先輩と会うの久しぶりですね」
「別に同じ学校なんだから声掛けたらいいじゃん」
「先輩。後輩からすると一年先輩ってだけで声掛けるのすごい勇気いるんですよ?知ってます?」
 一応高森なりに気を遣っているのか。
(だから文化祭も誘ってこないのか?)
 思わず聞きそうになったけど、我慢した。
 けれど、結局その日、高森から誘われることはなかったし、一緒に帰ることもなかった。
 ただ、スマホにメッセージだけは届いた。
『先輩!明日はがんばりましょうね!好きです』
 もはや接続詞すらなく『好きです』と言われ、俺はちょっと笑いそうになる。
 が、高森が誘ってこないことと、それを気にする自分が理解できなくて、あまり笑えなかった。