〇遥久の自宅(遥久の部屋)・20時半頃
遥久の自宅は、代々続く呪術師の家系。
幼い頃から、そのことを気味悪がられたりしたが、からかうと呪いをかけられるかもしれないと恐れられていた。
そんな中、紗恵と悠成は変わらずに仲良くしてくれた。そのこともあり、今ではみんなが仲良くしてくれる。
時計を外す遥久。
遥久(紗恵から、霊力というか誰かの気の残りを感じた)
遥久(紗恵のお母さんでもないし、霊力のある千鶴でもない。だとしたら、誰の?)
遥久(何だか、嫌な予感がする。まさか……!)
遥久は思い出したように自分の部屋を飛び出して、勢いよく階段を降りて行く。
母「こらっ、静かにしなさい!」
遥久「ごめん、急用!」
靴を履いて玄関を飛び出した遥久。
思いついたように桜の木の下に向かう。
だが、桜の木は見えているのにどうしても先に進めない。
遥久(結界が張ってあるのか?)
遥久(あまり、能力は使いたくなかったが致し方ない)
遥久が右手の指先に意識を集中させる。すると、目が真っ赤になり、髪の毛が逆立つ。そして、パリーンと僅かな音がして、結界にヒビが入った。
遥久(ヒビが入っただけで、割れはしないか。なら……こじ開けるのみ!)
遥久は右足でヒビが入った空間を蹴って、自分が通れるくらいの穴を開けた。
入ろうとした遥久は一歩踏み入れた瞬間、身体にガラスでも刺さったかのように痛くなった。
遥久「あぁー!」
黒い影が遥久に声をかけてくる。
黒い影「裏切りモノは入れない」
遥久「……っ」
黒い影「大人しく帰るか、我の餌になるか」
遥久「うぅ……」
遥久の頭の中に流れ込んでくる、遊園地に行った日の感情。
紗恵と悠成とのやり取りの場面が流れてくる。
紗恵「え? 必要ないって? お兄ちゃんのお下がりもらえたとか?」
遥久(スマホもだけど、紗恵の誕生日プレゼントを奮発したかった。でも、もう渡すことなんてできないから……バイトなんて意味がなかったな)
紗恵「念願叶ったから、もうバイトは辞めるの?」
遥久「……そうだな」
遥久(ごめんな、紗恵。バイトを辞めるどころかもう今日限りで会えないんだ)
遥久「悠成、カッコ良すぎだろ! ありがとう、ごちそうさま」
紗恵「……! ごちそうさま!」
遥久(今日は俺が奢るって言ってたのに!最後くらい、俺に華を持たせてくれてもいいのになぁ……)
遥久「もう、やめて……くれ」
遥久は頭も締め付けられる感覚があり、ガンガンして痛くなってくる。
遥久「……はぁっ、……はぁっ」
息苦しい遥久は、のたうち回りながら、自宅に戻る。
〇紗恵の自宅→祖父母の住む離れに移動・21時半頃
お風呂から上がった紗恵。
紗恵「お母さん、お風呂からあがったよー」
リビングの電気はついているが、両親の気配がない。
紗恵(あれ? 誰も居ない? 電気はついてるのに……)
ガチャ。玄関のドアが開く音がする。
母は慌てている。
母「紗恵!」
紗恵「どこに行ってたの?」
母「おじいちゃんがね、ちょっと前に倒れちゃったのよ」
紗恵「え?」
紗恵は祖父母が住んでいる離れ(自宅の隣にある)へと駆け出す。
紗恵の祖父が倒れてしまい、父と祖母が救急車を待っている。
紗恵「おじいちゃん……! ねぇってば!」
母「紗恵、揺すったら駄目よ」
紗恵「……うん、分かった」
父「お母さんと一緒に病院に向かうから、紗恵はおばあちゃんと一緒に自宅で待機しててくれるか?」
紗恵「私も行きたい!」
父「駄目だ。日を改めて、おじいちゃんが落ち着いてから来なさい」
紗恵はしょんぼりするが、祖母が背中をさすってくれる。
祖母「きっと大丈夫だから。おばあちゃんと一緒に待ってよう」
おばあちゃんの声は少し震えている。
紗恵(おばあちゃんの方が、私よりも不安だよね……。取り乱してごめんなさい)
紗恵「お父さん、連絡待ってるから」
父「落ち着いたら、すぐ連絡する」
紗恵は静かに頷く。
その夜、祖父は帰ることなく、亡くなったという連絡だけが入った。
紗恵は涙が止まらなかった。
幼い頃から大切に接してくれた祖父が亡くなったことを受け入れられずにいた。
〇斎場・通夜
テーブルには寿司やオードブルなどが並んでいる。
叔母「重一郎さんは紗恵ちゃんのこと、とっても可愛がっていたものね」
叔父「そうだな。最期に紗恵ちゃんの晴れ着姿を見れて幸せだったと思う」
紗恵はしょんぼりしながら、頷いた。
紗恵(おじいちゃん、とても喜んでくれていた。だからこそ、笑顔を思い出すとつらい)
紗恵は精進料理も喉を通らず、たくさんの親戚がきていて挨拶だけは交わしたが、話す気にはなれなかった。
祖父「紗恵……」
紗恵は元気が出ず、この場から立ち去ると祖父の声が聴こえた。
紗恵「おじいちゃん?」
声が聞こえる方向に行くと祭壇の辺りだった。
祭壇に飾ってある写真の前辺りに祖父がふわふわと浮かんでいる。
祖父「紗恵、ワシの声が聞こえるんだな?」
紗恵「聞こえるし、姿も見えるよ」
祖父「そうか、それは良かった」
祖父「紗恵には話しておかなきゃいけないことがある。本当は死ぬ前に話したかったんだが……」
紗恵「話しておかなきゃいけないこと?」
祖父「そうだ。斜め向かいにある夜見さんちは呪術師の家系ということは知ってるだろ?」
紗恵「そういえば、そうだったね」
紗恵(あんまり気にしたことなかったから忘れてたけど……)
祖父「お隣の黒川さんちは、桜の木の近くにある祠を守る役目がある」
紗恵「祠……? 見たことないけど?」
祖父「普段は見えないから仕方あるまい」
紗恵(一体どういうこと?)
祖父「そして、高瀬家は黒川さんちと夜見さんちが対立しないように見張る役目じゃ」
紗恵「……見張るって何?」
祖父「そのままの意味じゃよ」
紗恵は、祖父の話がちんぷんかんぷんで理解できていない。
紗恵(黒川さんちはご両親だけで暮らしてるし、夜見さんちとも仲が良い。見張るなんて……どうして?)
祖父「ただ、大変なことが起きてしまった」
祖父「黄泉の国の番人候補が入れ替わった」
紗恵は首をかしげる。
紗恵「黄泉の国なんて聞いたことがないよ」
トイレの帰りに紗恵を見つけて、不思議そうに見る母。
母「紗恵……! どうしたの?」
紗恵「今ね、おじいちゃんがあっちに居たの。……って、あれ? 居ない?」
母「夢でも見てたんじゃないの?」
呆れたように言う母。
紗恵の目の前からは、祖父の姿が消えていた。
紗恵(絶対、夢じゃないよね!)
紗恵(それにしても、黄泉の国って何だろう?)
紗恵は疑問に思いながら母のあとを着いていく。
遥久の自宅は、代々続く呪術師の家系。
幼い頃から、そのことを気味悪がられたりしたが、からかうと呪いをかけられるかもしれないと恐れられていた。
そんな中、紗恵と悠成は変わらずに仲良くしてくれた。そのこともあり、今ではみんなが仲良くしてくれる。
時計を外す遥久。
遥久(紗恵から、霊力というか誰かの気の残りを感じた)
遥久(紗恵のお母さんでもないし、霊力のある千鶴でもない。だとしたら、誰の?)
遥久(何だか、嫌な予感がする。まさか……!)
遥久は思い出したように自分の部屋を飛び出して、勢いよく階段を降りて行く。
母「こらっ、静かにしなさい!」
遥久「ごめん、急用!」
靴を履いて玄関を飛び出した遥久。
思いついたように桜の木の下に向かう。
だが、桜の木は見えているのにどうしても先に進めない。
遥久(結界が張ってあるのか?)
遥久(あまり、能力は使いたくなかったが致し方ない)
遥久が右手の指先に意識を集中させる。すると、目が真っ赤になり、髪の毛が逆立つ。そして、パリーンと僅かな音がして、結界にヒビが入った。
遥久(ヒビが入っただけで、割れはしないか。なら……こじ開けるのみ!)
遥久は右足でヒビが入った空間を蹴って、自分が通れるくらいの穴を開けた。
入ろうとした遥久は一歩踏み入れた瞬間、身体にガラスでも刺さったかのように痛くなった。
遥久「あぁー!」
黒い影が遥久に声をかけてくる。
黒い影「裏切りモノは入れない」
遥久「……っ」
黒い影「大人しく帰るか、我の餌になるか」
遥久「うぅ……」
遥久の頭の中に流れ込んでくる、遊園地に行った日の感情。
紗恵と悠成とのやり取りの場面が流れてくる。
紗恵「え? 必要ないって? お兄ちゃんのお下がりもらえたとか?」
遥久(スマホもだけど、紗恵の誕生日プレゼントを奮発したかった。でも、もう渡すことなんてできないから……バイトなんて意味がなかったな)
紗恵「念願叶ったから、もうバイトは辞めるの?」
遥久「……そうだな」
遥久(ごめんな、紗恵。バイトを辞めるどころかもう今日限りで会えないんだ)
遥久「悠成、カッコ良すぎだろ! ありがとう、ごちそうさま」
紗恵「……! ごちそうさま!」
遥久(今日は俺が奢るって言ってたのに!最後くらい、俺に華を持たせてくれてもいいのになぁ……)
遥久「もう、やめて……くれ」
遥久は頭も締め付けられる感覚があり、ガンガンして痛くなってくる。
遥久「……はぁっ、……はぁっ」
息苦しい遥久は、のたうち回りながら、自宅に戻る。
〇紗恵の自宅→祖父母の住む離れに移動・21時半頃
お風呂から上がった紗恵。
紗恵「お母さん、お風呂からあがったよー」
リビングの電気はついているが、両親の気配がない。
紗恵(あれ? 誰も居ない? 電気はついてるのに……)
ガチャ。玄関のドアが開く音がする。
母は慌てている。
母「紗恵!」
紗恵「どこに行ってたの?」
母「おじいちゃんがね、ちょっと前に倒れちゃったのよ」
紗恵「え?」
紗恵は祖父母が住んでいる離れ(自宅の隣にある)へと駆け出す。
紗恵の祖父が倒れてしまい、父と祖母が救急車を待っている。
紗恵「おじいちゃん……! ねぇってば!」
母「紗恵、揺すったら駄目よ」
紗恵「……うん、分かった」
父「お母さんと一緒に病院に向かうから、紗恵はおばあちゃんと一緒に自宅で待機しててくれるか?」
紗恵「私も行きたい!」
父「駄目だ。日を改めて、おじいちゃんが落ち着いてから来なさい」
紗恵はしょんぼりするが、祖母が背中をさすってくれる。
祖母「きっと大丈夫だから。おばあちゃんと一緒に待ってよう」
おばあちゃんの声は少し震えている。
紗恵(おばあちゃんの方が、私よりも不安だよね……。取り乱してごめんなさい)
紗恵「お父さん、連絡待ってるから」
父「落ち着いたら、すぐ連絡する」
紗恵は静かに頷く。
その夜、祖父は帰ることなく、亡くなったという連絡だけが入った。
紗恵は涙が止まらなかった。
幼い頃から大切に接してくれた祖父が亡くなったことを受け入れられずにいた。
〇斎場・通夜
テーブルには寿司やオードブルなどが並んでいる。
叔母「重一郎さんは紗恵ちゃんのこと、とっても可愛がっていたものね」
叔父「そうだな。最期に紗恵ちゃんの晴れ着姿を見れて幸せだったと思う」
紗恵はしょんぼりしながら、頷いた。
紗恵(おじいちゃん、とても喜んでくれていた。だからこそ、笑顔を思い出すとつらい)
紗恵は精進料理も喉を通らず、たくさんの親戚がきていて挨拶だけは交わしたが、話す気にはなれなかった。
祖父「紗恵……」
紗恵は元気が出ず、この場から立ち去ると祖父の声が聴こえた。
紗恵「おじいちゃん?」
声が聞こえる方向に行くと祭壇の辺りだった。
祭壇に飾ってある写真の前辺りに祖父がふわふわと浮かんでいる。
祖父「紗恵、ワシの声が聞こえるんだな?」
紗恵「聞こえるし、姿も見えるよ」
祖父「そうか、それは良かった」
祖父「紗恵には話しておかなきゃいけないことがある。本当は死ぬ前に話したかったんだが……」
紗恵「話しておかなきゃいけないこと?」
祖父「そうだ。斜め向かいにある夜見さんちは呪術師の家系ということは知ってるだろ?」
紗恵「そういえば、そうだったね」
紗恵(あんまり気にしたことなかったから忘れてたけど……)
祖父「お隣の黒川さんちは、桜の木の近くにある祠を守る役目がある」
紗恵「祠……? 見たことないけど?」
祖父「普段は見えないから仕方あるまい」
紗恵(一体どういうこと?)
祖父「そして、高瀬家は黒川さんちと夜見さんちが対立しないように見張る役目じゃ」
紗恵「……見張るって何?」
祖父「そのままの意味じゃよ」
紗恵は、祖父の話がちんぷんかんぷんで理解できていない。
紗恵(黒川さんちはご両親だけで暮らしてるし、夜見さんちとも仲が良い。見張るなんて……どうして?)
祖父「ただ、大変なことが起きてしまった」
祖父「黄泉の国の番人候補が入れ替わった」
紗恵は首をかしげる。
紗恵「黄泉の国なんて聞いたことがないよ」
トイレの帰りに紗恵を見つけて、不思議そうに見る母。
母「紗恵……! どうしたの?」
紗恵「今ね、おじいちゃんがあっちに居たの。……って、あれ? 居ない?」
母「夢でも見てたんじゃないの?」
呆れたように言う母。
紗恵の目の前からは、祖父の姿が消えていた。
紗恵(絶対、夢じゃないよね!)
紗恵(それにしても、黄泉の国って何だろう?)
紗恵は疑問に思いながら母のあとを着いていく。
