『あんた!自分が何したのか分かってんのかい!!』
『うるせえ!!ババァは引っ込んでろ!!!』
飛び交う怒号に私は耳を塞ぐ。
殴られた頬が熱を持っていたが、そんな事はもう慣れた。
物心ついた時から知っていた事。
ーーー私はいらない子。
目の前にはバキバキに割れた携帯電話。
これはおばあちゃんの物だ。
『うっ……うう……』
耐えきれなくなって私は外に出る。
私はここが……おばあちゃんの神社が好きだった。
汚い日常を浄化してくれるみたいだから。
『きゃあ!』
父と雨から逃れるように離れでぼうっとしていた時だった。
その人が突然現れたのは。
『あなた酷い怪我……貴方、どうしたの!?』
美しいその女の人は私に目線を合わせるように腰を下ろす。
『ころんだ』
お父さんからそう言えって言われてるから。
『よし!』
『え』
その女性がビリビリを服の裾を破く。
綺麗な布が台無しだ。
『や、やめて……』
怒られちゃうから。
殴られちゃうから。
『怖かったね』
布で私の傷の手当てをしていく。
今までこんな風に心配してくれた人がいただろうか。
申し訳なさと少しの嬉しさで、胸がぐちゃぐちゃになった。
『うっ……ふえっ……』
『よしよし、もう大丈夫だよ』
私を抱きしめ頭を優しく撫でる。
そうか、私は温もりに飢えていたんだ。
『うえええぇぇん』
これが、最初の出会い。
こんな事があってから彼女は頻繁に来るようになった。
『花織ちゃん!今日はお菓子を持ってきたよ!』
『花織ちゃん!元気〜!?』
『花織ちゃーーん!!』
『もう、声おっきいよ』
そんな事を言いつつ嬉しかったのだ。
私に会いに来てくれる人がいることに。
『それじゃあ、おばあちゃんに引き取られる事になったのね』
『うん……』
父にとってわたしはなんだったんだろう。
『わたし、いらない子なのかな』
『美桜ちゃん』
ぴしゃりと彼女が告げる。
『そんなこと言っちゃ駄目』
『でも……』
『少なくとも私は花織ちゃんがいてくれて良かったなって思うよ』
『ほんと……?』
『ほんとほんと!大好きなお友達だよ!』
『うれしい……』
そんな事を言われたのは初めてだった。
『八重』
『白緋!』
第三者の声が聞こえ、私はジッとその人を見る。
この人はお姉ちゃんとたまにやって来る人だ。
『白緋、すっかり警戒されちゃってるね』
『うるさい』
お姉ちゃんがくすくすと笑う。
この人はお姉ちゃんのなんなんだろう。
『私、術が解けてないか見てくるね!』
『え!?』
そう言うと、お姉ちゃんはさっさと外に行ってしまった。
『……』
『……』
沈黙が流れる。
『ここでの生活は慣れたのか?』
『うん……』
口を開いたのは彼からだった。
『八重から大方聞いている』
『……』
ずっと気になっている事を口にする。
『はくびはお姉ちゃんのなんなの?』
『……』
考え込んで口を開く。
『……相談相手、か』
『そーだん……?』
何を言っているのか分からなかった。
でも、重要なのはそこじゃない。
『はくびも、私からお姉ちゃんとるの?』
私からお母さんをとったあの男みたいに。
『はくびも私にいなくなれって思うの?』
やっと出来た安心できる場所。
八重お姉ちゃんまでいなくなったら私……。
『とらないよ』
頭に乗せられたのは、温かくて大きな手。
『八重がお前を気にかける理由が分かるような気がするな』
『え?』
『あまり背負いすぎるな』
信じていいの?
『……八重、分かっているぞ』
『あっ、バレちゃった〜?』
『お姉ちゃん!』
いつの間にか帰ってきたのだろう。
笑みをこぼしながら近づいてくる。
『んもう!いじらしいな〜!』
『きゃっ』
『おい、急に抱きついてやるな』
『私はず〜っと、花織ちゃんの事を思っているよ!』
嬉しくて顔が熱くなる。
「あれ?お姉ちゃん髪の毛どうしたの?」
綺麗にまとめられているから気付かなかった。
毛先の方が白くなっている事に。
『ああ、これ?気にしないで!』
彼女は顔色ひとつ変えずに答える。
『私達、そろそろ帰らなきゃ!またね、花織ちゃん!』
『またね!』
当たり前にまた会えるものだと思っていた。
だから、二人に会うのはこれが最後だったなんてこの時は夢にも思わなかった。
『うるせえ!!ババァは引っ込んでろ!!!』
飛び交う怒号に私は耳を塞ぐ。
殴られた頬が熱を持っていたが、そんな事はもう慣れた。
物心ついた時から知っていた事。
ーーー私はいらない子。
目の前にはバキバキに割れた携帯電話。
これはおばあちゃんの物だ。
『うっ……うう……』
耐えきれなくなって私は外に出る。
私はここが……おばあちゃんの神社が好きだった。
汚い日常を浄化してくれるみたいだから。
『きゃあ!』
父と雨から逃れるように離れでぼうっとしていた時だった。
その人が突然現れたのは。
『あなた酷い怪我……貴方、どうしたの!?』
美しいその女の人は私に目線を合わせるように腰を下ろす。
『ころんだ』
お父さんからそう言えって言われてるから。
『よし!』
『え』
その女性がビリビリを服の裾を破く。
綺麗な布が台無しだ。
『や、やめて……』
怒られちゃうから。
殴られちゃうから。
『怖かったね』
布で私の傷の手当てをしていく。
今までこんな風に心配してくれた人がいただろうか。
申し訳なさと少しの嬉しさで、胸がぐちゃぐちゃになった。
『うっ……ふえっ……』
『よしよし、もう大丈夫だよ』
私を抱きしめ頭を優しく撫でる。
そうか、私は温もりに飢えていたんだ。
『うえええぇぇん』
これが、最初の出会い。
こんな事があってから彼女は頻繁に来るようになった。
『花織ちゃん!今日はお菓子を持ってきたよ!』
『花織ちゃん!元気〜!?』
『花織ちゃーーん!!』
『もう、声おっきいよ』
そんな事を言いつつ嬉しかったのだ。
私に会いに来てくれる人がいることに。
『それじゃあ、おばあちゃんに引き取られる事になったのね』
『うん……』
父にとってわたしはなんだったんだろう。
『わたし、いらない子なのかな』
『美桜ちゃん』
ぴしゃりと彼女が告げる。
『そんなこと言っちゃ駄目』
『でも……』
『少なくとも私は花織ちゃんがいてくれて良かったなって思うよ』
『ほんと……?』
『ほんとほんと!大好きなお友達だよ!』
『うれしい……』
そんな事を言われたのは初めてだった。
『八重』
『白緋!』
第三者の声が聞こえ、私はジッとその人を見る。
この人はお姉ちゃんとたまにやって来る人だ。
『白緋、すっかり警戒されちゃってるね』
『うるさい』
お姉ちゃんがくすくすと笑う。
この人はお姉ちゃんのなんなんだろう。
『私、術が解けてないか見てくるね!』
『え!?』
そう言うと、お姉ちゃんはさっさと外に行ってしまった。
『……』
『……』
沈黙が流れる。
『ここでの生活は慣れたのか?』
『うん……』
口を開いたのは彼からだった。
『八重から大方聞いている』
『……』
ずっと気になっている事を口にする。
『はくびはお姉ちゃんのなんなの?』
『……』
考え込んで口を開く。
『……相談相手、か』
『そーだん……?』
何を言っているのか分からなかった。
でも、重要なのはそこじゃない。
『はくびも、私からお姉ちゃんとるの?』
私からお母さんをとったあの男みたいに。
『はくびも私にいなくなれって思うの?』
やっと出来た安心できる場所。
八重お姉ちゃんまでいなくなったら私……。
『とらないよ』
頭に乗せられたのは、温かくて大きな手。
『八重がお前を気にかける理由が分かるような気がするな』
『え?』
『あまり背負いすぎるな』
信じていいの?
『……八重、分かっているぞ』
『あっ、バレちゃった〜?』
『お姉ちゃん!』
いつの間にか帰ってきたのだろう。
笑みをこぼしながら近づいてくる。
『んもう!いじらしいな〜!』
『きゃっ』
『おい、急に抱きついてやるな』
『私はず〜っと、花織ちゃんの事を思っているよ!』
嬉しくて顔が熱くなる。
「あれ?お姉ちゃん髪の毛どうしたの?」
綺麗にまとめられているから気付かなかった。
毛先の方が白くなっている事に。
『ああ、これ?気にしないで!』
彼女は顔色ひとつ変えずに答える。
『私達、そろそろ帰らなきゃ!またね、花織ちゃん!』
『またね!』
当たり前にまた会えるものだと思っていた。
だから、二人に会うのはこれが最後だったなんてこの時は夢にも思わなかった。
