震える指先でインターホンを押す。
少しして部屋の中から返事が聞こえ、ゆっくりと扉が開く。
恐る恐る、扉の先に立つ人物の顔を見た。
「……生きてた」
扉の向こうから出てきた耀を見た瞬間、体の力が抜けて崩れ落ちそうになる。
そんな俺を耀が強く抱きしめた。
「よ、宵……」
俺を抱きしめながら、耀が声を震わせて、さらに強く抱きしめる。
そんな耀の背中に腕を回し、俺も強く抱きしめた。
触れる背中が温かくて、本当に生きている現実を噛み締める。
「宵……会いたかった」
狭い玄関でしばらく抱き合った後、耀に招かれて1Kの部屋に案内される。
「今、お茶出すね」
耀が立ち上がろうとした瞬間、思わず腕を掴む。
「いいから」
「……うん」
耀が、俺の隣に座る。
「俺、ずっと……耀を探してた」
耀は、俺の話を黙って聞く。
「……生きてるくらいは教えてくれよ」
耀が俺の手を握り、まっすぐ見つめてくる。
「ごめん。ずっと連絡できなくて」
「……」
「……俺、宵と最後に会った時、先生から最後のチャンスって言われたんだ。今から治療に専念して、タイミングが合えば移植ができるかもしれないって。でも、うまくいかない可能性の方が高いとも言われて……」
「……」
「もしそのまま死んだら、宵にもっと辛い思いをさせる。死ぬ可能性が高い俺を宵に見せたくなくて、母親にお願いして、連絡先も変えて、治療に専念するために家も東京の病院の近くに引っ越したんだ」
「……もう、大丈夫なのか?」
「うん、今はもう半年に一回の通院になった。結局、手術は成功したけど、日常生活に戻るまでは、そこから二年かかって」
「……そっか」
「それで、その時宵に連絡しようと思ったけど。同級生たちが、大学や就職したりしていることに気付いて。少しでも宵に追いついて、隣にいてもいいって思えるようになりたくて」
「……うん」
「連絡しようと思うたびに、もっとちゃんとしてからって思ってたら、気付いたら六年も経ってた。……っていうのは結局言い訳で。一番は、宵に忘れられていたら……どうしようって怖くて、なかなか連絡できなかった」
「俺が忘れてると思ってたのかよ」
「……ごめん」
「俺は、俺は……ずっと、耀に好きだって言いたかった。何であの時、生きて欲しい。好きだって言わなかったのか、ずっと後悔してたんだぞ」
六年間の感情が溢れて、勢いで告白してしまう。
俺の言葉を聞いて、耀が俺に抱きつく。
「俺も……俺も、宵が好き。初めて会った日から、ずっと好きだった」
俺の胸で涙を流す耀の背中を、優しくさすった。
「本当に俺、自分勝手でごめん」
「……正直、言いたいことはたくさんある。まだ少し、混乱してる。でも、耀が目の前にいて触れられるだけで、今はもう何もいらない。そのくらい、耀が好きだ」
俺の言葉を聞いて、耀が泣きながら頷く。
「もう絶対、いなくなるなよ」
耀の頬に手を添えて、流れてくる涙を拭う。
「俺は耀と出会った日から、耀に生かされてるようなものだから」
きょとんとする耀を見て、俺は笑いながら話し続けた。
「人生が夢に過ぎないなら、俺はずっと耀の夢を見ていたい」
「……それどういう意味?」
「内緒」
「え、教えてよ」
泣いている耀の頭を撫でていると、耀と視線が合う。
「なんか宵、余裕がある。俺はこんなに、泣いてるのに」
「いや、もうここにくる途中で泣いたからな」
「え?」
「いや、そりゃそうだろ。いるはずもない、もう会えないと思っていたのに」
「……そっか」
俺の話を聞いて、耀は少し嬉しそうに笑う。
そんな耀が愛おしく見えて、気づいたら唇を重ねていた。
「え?」
「ん?」
「今、何した?」
「キス?した」
「え!ちょっと!俺ファーストキス……」
「ごめん。……我慢できなかった」
「ちょー、やり直し‼︎」
耀がワーワー言っているため、今度はちゃんと耀が目を閉じたあと、耀の唇を喰むように重ねる。
唇が離れ、お互い目が合うと、耀が照れくさそうに口を押さえる。
俺は、耀の耳元でそっと囁く。
「俺も、初めて」
窓の外では、あの日と同じように蝉が鳴いていた。
もう、夢じゃない。
少しして部屋の中から返事が聞こえ、ゆっくりと扉が開く。
恐る恐る、扉の先に立つ人物の顔を見た。
「……生きてた」
扉の向こうから出てきた耀を見た瞬間、体の力が抜けて崩れ落ちそうになる。
そんな俺を耀が強く抱きしめた。
「よ、宵……」
俺を抱きしめながら、耀が声を震わせて、さらに強く抱きしめる。
そんな耀の背中に腕を回し、俺も強く抱きしめた。
触れる背中が温かくて、本当に生きている現実を噛み締める。
「宵……会いたかった」
狭い玄関でしばらく抱き合った後、耀に招かれて1Kの部屋に案内される。
「今、お茶出すね」
耀が立ち上がろうとした瞬間、思わず腕を掴む。
「いいから」
「……うん」
耀が、俺の隣に座る。
「俺、ずっと……耀を探してた」
耀は、俺の話を黙って聞く。
「……生きてるくらいは教えてくれよ」
耀が俺の手を握り、まっすぐ見つめてくる。
「ごめん。ずっと連絡できなくて」
「……」
「……俺、宵と最後に会った時、先生から最後のチャンスって言われたんだ。今から治療に専念して、タイミングが合えば移植ができるかもしれないって。でも、うまくいかない可能性の方が高いとも言われて……」
「……」
「もしそのまま死んだら、宵にもっと辛い思いをさせる。死ぬ可能性が高い俺を宵に見せたくなくて、母親にお願いして、連絡先も変えて、治療に専念するために家も東京の病院の近くに引っ越したんだ」
「……もう、大丈夫なのか?」
「うん、今はもう半年に一回の通院になった。結局、手術は成功したけど、日常生活に戻るまでは、そこから二年かかって」
「……そっか」
「それで、その時宵に連絡しようと思ったけど。同級生たちが、大学や就職したりしていることに気付いて。少しでも宵に追いついて、隣にいてもいいって思えるようになりたくて」
「……うん」
「連絡しようと思うたびに、もっとちゃんとしてからって思ってたら、気付いたら六年も経ってた。……っていうのは結局言い訳で。一番は、宵に忘れられていたら……どうしようって怖くて、なかなか連絡できなかった」
「俺が忘れてると思ってたのかよ」
「……ごめん」
「俺は、俺は……ずっと、耀に好きだって言いたかった。何であの時、生きて欲しい。好きだって言わなかったのか、ずっと後悔してたんだぞ」
六年間の感情が溢れて、勢いで告白してしまう。
俺の言葉を聞いて、耀が俺に抱きつく。
「俺も……俺も、宵が好き。初めて会った日から、ずっと好きだった」
俺の胸で涙を流す耀の背中を、優しくさすった。
「本当に俺、自分勝手でごめん」
「……正直、言いたいことはたくさんある。まだ少し、混乱してる。でも、耀が目の前にいて触れられるだけで、今はもう何もいらない。そのくらい、耀が好きだ」
俺の言葉を聞いて、耀が泣きながら頷く。
「もう絶対、いなくなるなよ」
耀の頬に手を添えて、流れてくる涙を拭う。
「俺は耀と出会った日から、耀に生かされてるようなものだから」
きょとんとする耀を見て、俺は笑いながら話し続けた。
「人生が夢に過ぎないなら、俺はずっと耀の夢を見ていたい」
「……それどういう意味?」
「内緒」
「え、教えてよ」
泣いている耀の頭を撫でていると、耀と視線が合う。
「なんか宵、余裕がある。俺はこんなに、泣いてるのに」
「いや、もうここにくる途中で泣いたからな」
「え?」
「いや、そりゃそうだろ。いるはずもない、もう会えないと思っていたのに」
「……そっか」
俺の話を聞いて、耀は少し嬉しそうに笑う。
そんな耀が愛おしく見えて、気づいたら唇を重ねていた。
「え?」
「ん?」
「今、何した?」
「キス?した」
「え!ちょっと!俺ファーストキス……」
「ごめん。……我慢できなかった」
「ちょー、やり直し‼︎」
耀がワーワー言っているため、今度はちゃんと耀が目を閉じたあと、耀の唇を喰むように重ねる。
唇が離れ、お互い目が合うと、耀が照れくさそうに口を押さえる。
俺は、耀の耳元でそっと囁く。
「俺も、初めて」
窓の外では、あの日と同じように蝉が鳴いていた。
もう、夢じゃない。

