結婚式当日、龍界に朝が訪れた。
雲海は黄金色に輝いている。
空はどこまでも青かった。
まるで世界そのものが祝福しているようだった。
私は鏡の前に座っていた。
純白の婚礼衣装
金糸で龍が刺繍されている。
肩には黒龍の鱗を模した装飾。
胸元には白龍の逆鱗を模した宝石。
龍界最高位の花嫁衣装だった。
侍女たちが涙ぐんでいる。
「綺麗です……。本当に龍王妃様になられるんですね」
私は少し照れた。
その時、勢いよく扉が開いた。
「娘ぇぇぇぇぇん!!」
やっぱり来た。
黒龍だった。
侍女たちが慌てる。
「黒龍様!」
「まだ入場前です!」
「そんなの知るか!!」
黒龍は私を見る。
そして固まった。
目を見開く。
何も言わない。
珍しかった。
私は少し不安になる。
「似合いませんか?」
すると、黒龍の目から涙が溢れた。
「綺麗だぁぁぁぁぁぁ!!」
号泣だった。
侍女たちも泣く。
私も少し泣きそうになる。
黒龍は鼻をすすった。
「あんなに小さかったのになぁ……。熱ばっかり出して病院ばっかりで」
胸が少し痛む。
黒龍は優しく笑った。
「よくここまで来たな」
私は頷いた。
「はい」
それだけで十分だった。
やがて。
婚礼の鐘が鳴る。
龍界中へ響く音。
結婚式が始まる。
巨大な雲宮殿。
数万の龍族が集まっていた。
赤龍。
青龍。
金龍。
黒龍。
八大龍王。
全てが揃っている。
私はゆっくり歩き出した。
花びらのような光が舞う。
遠くに白龍が立っている。
私だけを見て百年間、ずっと待っていた人。
その距離が少しずつ縮まる。
一歩。
また一歩。
そして白龍の前に立つ。
彼は微笑んだ。
「綺麗です」
その一言で。
今までの緊張が全部消えた。
私は少し笑う。
「ありがとうございます」
契約管理者が現れる。
空から光が降りた。
龍界中が静まり返った。
そして告げる。
「百年前に締結された契約を確認」
空気が震える。
「黒姫の魂の分離。龍界維持契約。龍王継承契約」
一つずつ光が現れる。
私の身体から。
そして、最後の光が浮かび上がった。
右腕。龍女の証。百年間消えなかった紋章。
契約管理者が静かに言う。
「条件達成」
光が強くなる。
「契約完了」
その瞬間だった。
右腕の紋章が消えた。
光となって空へ昇る。
龍界全体が震える。
歓声が上がる。
百年間続いた契約。
ようやく終わった。
私は思わず涙を流した。
終わったのだ。
ようやく。
本当に。
終わった。
すると白龍が私の手を握った。
優しく離さないように。
私は彼を見る。
白龍は微笑んでいた。
「お疲れ様でした」
百年待った人の言葉。
私は泣きながら笑った。
「長かったですね」
白龍は頷く。
「はい」
「ですが」
彼は少しだけ照れた。
そして言う。
「これからの方が長いですよ」
その言葉に私は笑った。
龍界中の龍たちが祝福する。
人間界では雨がさらに強くなる。
貴船神社では黒龍がまた怒鳴っていたらしい。
でも今は知らない。
今日だけは私たちの日だった。
そして、百年続いた契約は終わる。
次に始まるのは契約ではない。
愛の物語だった。
雲海は黄金色に輝いている。
空はどこまでも青かった。
まるで世界そのものが祝福しているようだった。
私は鏡の前に座っていた。
純白の婚礼衣装
金糸で龍が刺繍されている。
肩には黒龍の鱗を模した装飾。
胸元には白龍の逆鱗を模した宝石。
龍界最高位の花嫁衣装だった。
侍女たちが涙ぐんでいる。
「綺麗です……。本当に龍王妃様になられるんですね」
私は少し照れた。
その時、勢いよく扉が開いた。
「娘ぇぇぇぇぇん!!」
やっぱり来た。
黒龍だった。
侍女たちが慌てる。
「黒龍様!」
「まだ入場前です!」
「そんなの知るか!!」
黒龍は私を見る。
そして固まった。
目を見開く。
何も言わない。
珍しかった。
私は少し不安になる。
「似合いませんか?」
すると、黒龍の目から涙が溢れた。
「綺麗だぁぁぁぁぁぁ!!」
号泣だった。
侍女たちも泣く。
私も少し泣きそうになる。
黒龍は鼻をすすった。
「あんなに小さかったのになぁ……。熱ばっかり出して病院ばっかりで」
胸が少し痛む。
黒龍は優しく笑った。
「よくここまで来たな」
私は頷いた。
「はい」
それだけで十分だった。
やがて。
婚礼の鐘が鳴る。
龍界中へ響く音。
結婚式が始まる。
巨大な雲宮殿。
数万の龍族が集まっていた。
赤龍。
青龍。
金龍。
黒龍。
八大龍王。
全てが揃っている。
私はゆっくり歩き出した。
花びらのような光が舞う。
遠くに白龍が立っている。
私だけを見て百年間、ずっと待っていた人。
その距離が少しずつ縮まる。
一歩。
また一歩。
そして白龍の前に立つ。
彼は微笑んだ。
「綺麗です」
その一言で。
今までの緊張が全部消えた。
私は少し笑う。
「ありがとうございます」
契約管理者が現れる。
空から光が降りた。
龍界中が静まり返った。
そして告げる。
「百年前に締結された契約を確認」
空気が震える。
「黒姫の魂の分離。龍界維持契約。龍王継承契約」
一つずつ光が現れる。
私の身体から。
そして、最後の光が浮かび上がった。
右腕。龍女の証。百年間消えなかった紋章。
契約管理者が静かに言う。
「条件達成」
光が強くなる。
「契約完了」
その瞬間だった。
右腕の紋章が消えた。
光となって空へ昇る。
龍界全体が震える。
歓声が上がる。
百年間続いた契約。
ようやく終わった。
私は思わず涙を流した。
終わったのだ。
ようやく。
本当に。
終わった。
すると白龍が私の手を握った。
優しく離さないように。
私は彼を見る。
白龍は微笑んでいた。
「お疲れ様でした」
百年待った人の言葉。
私は泣きながら笑った。
「長かったですね」
白龍は頷く。
「はい」
「ですが」
彼は少しだけ照れた。
そして言う。
「これからの方が長いですよ」
その言葉に私は笑った。
龍界中の龍たちが祝福する。
人間界では雨がさらに強くなる。
貴船神社では黒龍がまた怒鳴っていたらしい。
でも今は知らない。
今日だけは私たちの日だった。
そして、百年続いた契約は終わる。
次に始まるのは契約ではない。
愛の物語だった。

