中学生になる頃には、自分が他の人と少し違うことを理解していた。
心臓が弱い。
すぐ疲れる。
人より体力がない。
それは変えられない事実だった。
入学式の日。
桜が綺麗だった。
みんな期待に満ちた顔をしていた。
私も少しだけ期待していた。
今度こそ友達ができるかもしれない。
普通の学校生活が送れるかもしれない。
そう思っていた。
けれども、現実は違った。
授業を休む。
検査で休む。
通院で休む。
体調不良で休む。
みんなが仲良くなる頃、私は病院にいた。
気付けばグループができている。
気付けば話題についていけない。
気付けば一人になっている。
誰かに嫌われたわけじゃない。
いじめられたわけでもない。
ただ、そこに入れなかった。
それだけだった。
◇◇◇
高校生になっても同じだった。
むしろ悪化していた。
周りは恋愛をする。
部活に打ち込む。
文化祭を楽しむ。
進路を語る。
未来の話をする。
私は病院の待合室にいた。
心電図。
採血。
診察。
薬。
検査。
また検査。
周りが前へ進むたびに。
自分だけ取り残されていく気がした。
◇◇◇
それでも勉強だけは頑張った。
身体が動かなくてもできるから。
家でもできるから。
誰かと競わなくていいから。
そして大学へ進学した。
嬉しかった。
本当に嬉しかった。
やっと普通になれると思った。
でも、現実は甘くなかった。
大学は自由だった。
だからこそ難しかった。
朝起きる。
電車に乗る。
キャンパスへ行く。
授業を受ける。
それだけで息が切れる。
胸が痛い。
心臓が苦しい。
駅の階段が登れない。
人混みが怖い。
満員電車が苦しい。
何度も途中でしゃがみ込んだ。
周りの人は歩いていく。
私だけが立ち止まる。
何度も。
何度も。
何度も。
ある日。
講義中に胸が苦しくなった。
息が吸えない。
心臓が暴れている。
視界が白くなる。
気付いた時には保健室だった。
先生が心配そうな顔をしていた。
「無理はしない方がいいですよ」
その言葉が胸に刺さった。
無理をしなければ。
私は何が残るのだろう。
勉強も。
仕事も。
学校も。
全部諦めたら、私は何者になるのだろう。
帰り道。
一人で空を見上げた。
夕焼けだった。
昔と同じように。
そこに白い龍が見えた気がした。
そして、黒い龍も。
相変わらず騒がしく飛んでいる気がした。
幻覚かもしれない。
夢かもしれない。
でもその日、私は初めて思った。
「もう疲れたな」
誰にも言えなかった言葉。
胸の奥に沈め続けた言葉。
それが静かに零れ落ちた。
空は綺麗だった。
それが少しだけ悲しかった。
心臓が弱い。
すぐ疲れる。
人より体力がない。
それは変えられない事実だった。
入学式の日。
桜が綺麗だった。
みんな期待に満ちた顔をしていた。
私も少しだけ期待していた。
今度こそ友達ができるかもしれない。
普通の学校生活が送れるかもしれない。
そう思っていた。
けれども、現実は違った。
授業を休む。
検査で休む。
通院で休む。
体調不良で休む。
みんなが仲良くなる頃、私は病院にいた。
気付けばグループができている。
気付けば話題についていけない。
気付けば一人になっている。
誰かに嫌われたわけじゃない。
いじめられたわけでもない。
ただ、そこに入れなかった。
それだけだった。
◇◇◇
高校生になっても同じだった。
むしろ悪化していた。
周りは恋愛をする。
部活に打ち込む。
文化祭を楽しむ。
進路を語る。
未来の話をする。
私は病院の待合室にいた。
心電図。
採血。
診察。
薬。
検査。
また検査。
周りが前へ進むたびに。
自分だけ取り残されていく気がした。
◇◇◇
それでも勉強だけは頑張った。
身体が動かなくてもできるから。
家でもできるから。
誰かと競わなくていいから。
そして大学へ進学した。
嬉しかった。
本当に嬉しかった。
やっと普通になれると思った。
でも、現実は甘くなかった。
大学は自由だった。
だからこそ難しかった。
朝起きる。
電車に乗る。
キャンパスへ行く。
授業を受ける。
それだけで息が切れる。
胸が痛い。
心臓が苦しい。
駅の階段が登れない。
人混みが怖い。
満員電車が苦しい。
何度も途中でしゃがみ込んだ。
周りの人は歩いていく。
私だけが立ち止まる。
何度も。
何度も。
何度も。
ある日。
講義中に胸が苦しくなった。
息が吸えない。
心臓が暴れている。
視界が白くなる。
気付いた時には保健室だった。
先生が心配そうな顔をしていた。
「無理はしない方がいいですよ」
その言葉が胸に刺さった。
無理をしなければ。
私は何が残るのだろう。
勉強も。
仕事も。
学校も。
全部諦めたら、私は何者になるのだろう。
帰り道。
一人で空を見上げた。
夕焼けだった。
昔と同じように。
そこに白い龍が見えた気がした。
そして、黒い龍も。
相変わらず騒がしく飛んでいる気がした。
幻覚かもしれない。
夢かもしれない。
でもその日、私は初めて思った。
「もう疲れたな」
誰にも言えなかった言葉。
胸の奥に沈め続けた言葉。
それが静かに零れ落ちた。
空は綺麗だった。
それが少しだけ悲しかった。

